共同演者 |
日置 勝義(福山市民病院 外科), 河本 慧(福山市民病院 外科), 久保田 哲史(福山市民病院 外科), 黒瀬 洋平(福山市民病院 外科), 久保 慎一郎(福山市民病院 外科), 野島 洋樹(福山市民病院 外科), 中野 敢友(福山市民病院 外科), 浅海 信也(福山市民病院 外科), 井谷 史嗣(福山市民病院 外科), 金 仁洙(福山市民病院 外科), 重西 邦浩(福山市民病院 病理診断科), 高倉 範尚(福山市民病院 外科) |
抄録 |
【緒言】十二指腸乳頭部癌は管状腺癌、特に高分化型管状腺癌が多く、印環細胞癌の報告は非常に少ない。今回我々は十二指腸乳頭部原発印環細胞癌の1切除例を経験したので報告する。【症例】80歳代女性。近医の血液検査で胆道系酵素の上昇を指摘されたため前医に紹介となった。上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部に発赤と腫大、ERCPで同部位の狭窄と末梢側の総胆管・主膵管の拡張を認めた。狭窄部の生検でadenocarcinomaの診断となり、手術目的に当院紹介となった。造影CT検査で狭窄部周囲に淡い造影効果を伴う腫瘤を認め、狭窄部より末梢側の総胆管・主膵管の拡張を認めた。EUSでは18*12mm大の境界明瞭な腫瘤を認め、内部がモザイク状であった。十二指腸乳頭部癌(露出腫瘤型,1.8cm,H0,Panc1,Du2,P0,N0,M(-),St(-),T3,cStageIII)の術前診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織検査では乳頭部から下部胆管にかけて粘膜内に異型上皮の増生を認め、印環細胞癌と高分化型管状腺癌が混在していた。病変はoddi括約筋をわずかに越えて進展していたが、胆管断端や膵実質・膵管には進展を認めず,病理組織診断は十二指腸乳頭部癌(sig>tub1,int,INFβ,ly0,v0,pn0,pPanc1a,pDu0,pBM0,pEM0)であった。現在まで術後9ヶ月無再発生存中である。【結語】内川らによると,十二指腸乳頭部癌発生頻度は全剖検例の約0.1%~0.2%であり、全癌症例の1%前後、胆道癌の約10%とされる。十二指腸乳頭部癌における印環細胞癌の頻度は0.5%とされ、報告例は26例のみである。今回われわれは非常に稀である十二指腸乳頭部原発印環細胞癌の一切除例を経験したので報告する。 |