セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-12:

高アンモニア血症に対するカルニチン補充療法の有用性の検討

演者 足立 卓哉(岡山済生会総合病院)
共同演者 藤岡 真一(岡山済生会総合病院), 石原 裕基(岡山済生会総合病院), 岡本 雄貴(岡山済生会総合病院), 河原 聡一郎(岡山済生会総合病院), 下村 泰之(岡山済生会総合病院), 關 杏奈(岡山済生会総合病院), 金藤 光博(岡山済生会総合病院), 齊藤 玄哲(岡山済生会総合病院), 川上 万里(岡山済生会総合病院), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院), 糸島 達也(岡山済生会総合病院)
抄録 [背景・目的]肝硬変患者の高アンモニア血症は日常診療で遭遇する機会は多い。血清アンモニアを下げる治療法の一つとしてカルニチン(レボカルニチン製剤)補充療法が最近注目されており、当院での処方例について検討した。 [対象・方法]当院で肝疾患患者に対してレボカルニチン製剤を処方した32例のうち、1か月以上内服歴があり、かつ高アンモニア血症に用いた21例を対象とした。また、処方前血清アンモニアが、1か月後アンモニアと比較し低下した群と低下しなかった群を検討した。比較検討項目は背景肝、脳症既往、血清アンモニア、Child-Pugh score、血清アルブミン、総ビリルビン、血清総コレステロール、血清コリンエステラーゼ、BMI、食道静脈瘤の有無、内服薬(高分岐鎖アミノ酸製剤、緩下剤、亜鉛製剤)の有無、レボカルニチン製剤処方量、投与後観察期間とした。[結果]対象の平均年齢は69.9歳、男/女:10/11人。背景肝はB型肝硬変1例、C型肝硬変12例、アルコール性肝硬変6例、自己免疫性肝炎1例、原発性胆汁性肝硬変1例。処方前の血清アンモニア値平均は133.6(μg/dl)。平均Child-Pugh score9.5点。高分岐鎖アミノ酸製剤は20例、緩下剤は15例、亜鉛製剤は5例で内服。レボカルニチン製剤処方量平均840mg/日。2群間で有意差のある項目は認めなかったが、低下群で、血清アンモニアが高く(p=0.076)、Child-Pugh scoreが高く(p=0.22)、血清アルブミンが低い(p=0.38)傾向であった。Child-Pugh score別に検討をすると、Child-Pugh score10点以上の患者群では処方前と処方1か月後の血清アンモニアは有意に低下傾向にあった(p=0.0038)。[考察]Child-Pugh scoreが10点以上の症例ではレボカルニチン製剤投与で有意に血清アンモニアが低下することが示唆された。血清総コレステロールや血清コリンエステラーゼに関しても低下群ではやや低い傾向にあり、肝不全進行例で栄養状態不良例にレボカルニチン製剤投与でアンモニア低下が期待できる可能性が考えられた。
索引用語 カルニチン, 高アンモニア血症