セッション情報 一般演題

タイトル O-11:

壁外性発育を示した残胃GISTの一症例

演者 香田 正晴(独立行政法人国立病院機構米子医療センター 消化器内科)
共同演者 松永 佳子(独立行政法人国立病院機構米子医療センター 消化器内科), 片山 俊介(独立行政法人国立病院機構米子医療センター 消化器内科), 山本 哲夫(独立行政法人国立病院機構米子医療センター 消化器内科)
抄録 【症例】82歳、女性【主訴】嘔吐、食思低下、体重減少【既往歴】67歳:早期胃癌にて幽門側胃切除【家族歴】特記事項なし【生活歴】喫煙歴:(-)、飲酒歴:(-)【経過】2012年 7月頃より食思低下を認め、体重減少も呈するため近医受診し当科紹介となる。腹部超音波検査で、心窩部に充実性で内部に一部壊死と思われる嚢胞性変化を含む巨大な腫瘤性病変を認めた。上部消化管内視鏡検査では、正常な胃粘膜面を呈しながらも残胃の拡張は非常に悪かった。上部消化管造影検査では、残胃大彎側後壁を中心に壁外性と思われる圧排を認めた。腹部CT検査では、残胃背側に10cm強の内部に壊死・変性を疑う非濃染域を認める腫瘤性病変を認めたが、肝転移やリンパ節転移を示唆するような所見は認めなかった。以上から残胃由来の壁外発育型GISTの可能性を考慮し、すでに嘔吐等の臨床症状を認めていることから、2012年8月に残胃全摘出術を施行した。切除標本の検討では残胃に発生した12.5×10×6.5cm大の粘膜下腫瘍を認め、壊死により中心部は嚢胞化し組織学的に腫瘍細胞は異型性が強く、核分裂を高頻度に認め、免疫染色では、ビメンチン(+)、c-kit(+)、CD34(+)、S-100(-)、SMA(-)で高リスクのGISTと診断した。GIST診療ガイドラインに沿って術後補助化学療法も検討されたが高齢であることなどを含め十分なインフォームドコンセントのもと現在まで経過観察中であるが、再発等は認めていない。【考察】本症例は残胃であるが、GIST発生部位は胃が最も多い。また特徴的な臨床症状に乏しく、さらに粘膜下腫瘍の形態を示し、壁外性に膨張発育するため、本症例の如く腫瘍が大きくなるまで発見されにくい傾向にあり、早期の発見は困難である。今回我々は残胃に発生したGISTの一例を経験したので報告する。
索引用語 残胃, GIST