セッション情報 一般演題

タイトル O-27:

TACE不応の肝細胞癌に対してソラフェニブを投与し、肝障害による中止後にPRとなった1例

演者 中野 憲仁(広島市立 広島市民病院)
共同演者 植松 周二(広島市立 広島市民病院), 宮武 宏和(広島市立 広島市民病院), 岩堂 昭太(広島市立 広島市民病院), 小林 功幸(広島市立 広島市民病院), 岡本 良一(広島市立 広島市民病院), 水野 元夫(広島市立 広島市民病院), 荒木 康之(広島市立 広島市民病院)
抄録 【症例】80歳代男性。C型慢性肝炎の加療中であったが、2006年6月、初発肝細胞癌(S2 20mm, S8 14mm)を認め、TACE+RFAを施行した。2009年4月には肝内多発再発を認め、その後、2011年5月までに計4回のTACEをおこなった。2011年12月のCT検査で肝内多発性再発を認めた時点でTACE不応と診断し、2012年1月よりソラフェニブ400mg/日の内服を開始、有害事象として高血圧、手足皮膚反応、下痢が出現したが、いずれもGrade1~2で対症療法によりコントロールできていた。しかし、同年4月の時点でPDであったため、ソラフェニブを5日間休薬した上でTACEを追加施行し、2週間後にソラフェニブ400mg/日を再開した。ソラフェニブ再開3週間後、下痢症状の増悪があったため、200mg/日に減量し内服を継続した。その後もPDの状態が続いていたが、同年9月、Grade3の肝障害が出現し、ソラフェニブによる有害事象と考え内服中止した。中止後もAST 300 IU/L以上、ALT 500 IU/L以上が約1ヶ月持続したが、その後、徐々に低下傾向となった。Child-Pugh scoreは保たれていた。一方で、肝障害出現を契機に腫瘍マーカーが著明な低下傾向となり、2013年2月のCTでは、腫瘍の明らかな縮小が認められた。現在は無治療で経過観察中である。【考察】ソラフェニブ長期投与中に著明な肝障害を認め、それを契機に腫瘍が縮小傾向となった1例を経験した。肝障害と腫瘍縮小の因果関係については不明な点が多く、また、本症例で、再増悪時におけるソラフェニブ再投与の安全性についても明らかでない。さらに症例を積み重ねた検討が必要と思われる。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ