セッション情報 一般演題

タイトル O-28:

G-CSF産生肝内胆管癌を疑った一例

演者 渡邊 一雄(福山医療センター)
共同演者 豊川 達也(福山医療センター), 表 静馬(福山医療センター), 宮阪 梨華(福山医療センター), 岡本 明子(福山医療センター), 藤田 勲生(福山医療センター), 寺尾 正子(福山医療センター), 村上 敬子(福山医療センター), 坂田 達朗(福山医療センター), 友田 純(福山医療センター)
抄録 【症例】80代男性【主訴】発熱、心窩部痛【現病歴】H23年7月初旬より発熱、食欲不振あり、近医より当院紹介受診となった。血液検査にて好中球を主体とする白血球26900/μl(好中球84%)増多を認め、腹部造影CTにて総胆管内にhigh densityな部位と、肝左葉に計6cm大のhypovascularな腫瘍を認めた。また、両葉に2-3cm大の同様の腫瘍が多発していた。ERCPを施行すると、総胆管内に血液凝固塊が充満しており、肝内腫瘍からの胆道出血をきたしていた。肝腫瘍生検では低分化腺癌の所見であり、PET/CTでは肝腫瘍以外に原発巣を疑う所見は認めなかった。なお、入院中に明らかな感染巣がないにも関わらず、白血球の異常高値が続いたため、G-CSF産生腫瘍を疑いG-CSFを測定したところ、455pg/mlと異常高値を示した。また、生検組織の免疫染色にてG-CSF陽性となった。以上よりG-CSF産生性の肝内胆管癌とその多発肝転移と診断し、TS1+GEMによる全身化学療法を開始した。1クール終了後には一時的に白血球の低下を認めたものの、その後は急速に増加し、最終的には白血球62700/μl(好中球93%)まで増加した。また、それに伴い全身消耗も著しく、診断より約3ヶ月後に死亡した。【考察】G-CSF産生腫瘍は現在までに肺癌を中心とした報告例が多いが、肝、胆道系での報告は少ない。また、病態は急速進行性で、予後不良の疾患である。特にG-CSF産生肝内胆管癌の報告は本症例も含め数例しかなく、貴重な症例と考えた。
索引用語 G-CSF, 肝内胆管癌