セッション情報 一般演題

タイトル O-12:

市中病院でのピロリ菌治療におけるクラリスロマイシン耐性菌の検討

演者 武 進(岡山市久米南町組合立 福渡病院 内科DELIMITER日本鋼管福山病院 消化器内科)
共同演者 石木 邦治(日本鋼管福山病院 消化器内科), 水野 元夫(広島市民病院 内科), 横田 憲治(岡山大学医学部保健学科 病態検査学), 小熊 惠二(朝日医療専門学校 岡山校)
抄録 【目的】H. pylori除菌治療は、2000年から保険適応となり、2013年2月には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」が保険適応となったことから、今後除菌治療を受ける人々は爆発的に増加すると考えられる。しかし、CAM耐性菌が増加しその対策が重要な課題となっている。われわれは、1995年より除菌治療を行い、1998年途中から感受性試験を開始している。これをもとに、当地域における耐性菌の現状について検討した。【方法】当院における初回除菌患者の耐性菌について検討した。耐性の有無はE-テストを用い、カットオフ値はAMPCでは1.0μg/ml以上、CAMは2.0μg/ml以上を耐性と判定した。【結果】CAM耐性菌感染者の割合は、1998年~2001年は10%未満であったが、2002年には10%を、2004年には15%を超え、2011年には27.5%まで増加した。これを反映してか、一次除菌率も2005年をピークに低下している。CAM感受性別の検討では、耐性菌では50%以下の低い除菌率で推移している一方、感受性菌では90%以上の高い除菌率であったが、近年90%を割り込んでいる。そこでMIC別でサブ解析を行うと、近年0.016μg/ml以下の割合が低下、0.032~1.0μg/mlの割合が増加しており、除菌率も0.032~1.0μg/mlでやや低い傾向にあった。【結語】われわれの施設においても、CAM耐性菌は増加の一途をたどり30%が目前である。CAM耐性は一次除菌治療の成否にかかわる主要因子であり、CAM耐性菌の増加は深刻な問題である。しかしCAM耐性菌であっても二次除菌治療として認められているPPI+AMPC+MNZであれば高い除菌率が期待できるため、CAM耐性があらかじめ判明している場合は一次除菌治療としてPPI+AMPC+MNZが使用できれば効率的と考えるが、保険診療では不可能である。不適切な内服はCAM耐性菌を誘導する可能性が高いため、更なる耐性菌を増やさないためには、十分なインフォームドコンセントの下、一次除菌・二次除菌を行い、不成功の場合には「ピロリ菌専門外来」などの専門家に委ねるのが現実的であると思われる。また、今後は、CAM、MNZ 2剤耐性菌に対する治療法の確立が急務と考える。
索引用語 clarithromycin resistant strain, H. pylori