セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-29:サプリメント使用により自然退縮した肝細胞癌,多発骨転移の1例 |
演者 | 内田 靖(松江赤十字病院 消化器内科) |
共同演者 | 板倉 由幸(松江赤十字病院 消化器内科), 山本 悦孝(松江赤十字病院 消化器内科), 山下 詔嗣(松江赤十字病院 消化器内科), 原田 恵理奈(松江赤十字病院 消化器内科), 花岡 拓哉(松江赤十字病院 消化器内科), 實藤 宏美(松江赤十字病院 消化器内科), 千貫 大介(松江赤十字病院 消化器内科), 藤澤 智雄(松江赤十字病院 消化器内科), 串山 義則(松江赤十字病院 消化器内科), 香川 幸司(松江赤十字病院 消化器内科) |
抄録 | 肝外転移を来した肝細胞癌(HCC)の自然退縮は稀である.今回著明な多発骨転移が自然退縮したHCCを経験したので報告する.症例は69歳,男性.C型肝硬変.H20/2から他院にてHCC加療を繰り返し受けられるも,H24/3にリンパ節転移,肋骨転移を合併した.肝機能良好(Child-Pugh A)でありネクサバールを勧められるも拒否.骨転移増大しNSAID,オピオイド使用されるも疼痛コントロール不良,通院困難のためH24/5当院紹介入院となった.初診時,AFP 2354.9ng/dl,PIVKA-2 21775AU/ml,肝両葉に多発するHCC,肝門部リンパ節腫大,C7,左第3肋骨,右第5肋骨,胸椎,Th10,L2に骨転移を認めた.疼痛の主原因がC7,左第3肋骨転移と判断し,同部にのみ放射線46Gyを照射,オピオイドにて疼痛コントロール可能となり,再度ネクサバールを勧めるも辞退,緩和治療を主とし外来経過観察となった.退院時にはAFP 3739.7ng/dl,PIVKA-2 107607AU/mlと有意な腫瘍マーカー上昇が認められた.退院後,本人の意思にてかかりつけ医において,ヒト胎盤抽出物(Laennec)2ml筋注を週3回,さらに2種のサプリメント(パナキサントン,キノコエキス)を摂取.その後,徐々に腫瘍マーカーが低下し,疼痛改善によるオピオイドの減量が可能となり,画像においても肝内腫瘍のvascuralityが低下した.退院3ヵ月後にはAFP 5.1ng/dl,PIVKA-2 35AU/mlと腫瘍マーカーの正常化が認められた.HCCの自然退縮の機序は明らかでないが,腫瘍の増大に必要な物質の供給停止,免疫機能の賦活化などが挙げられる.今回,C7,左第3肋骨転移にのみ放射線療法実施し,肝内病変や他の骨病変は無治療であったにも関わらず自然退縮に至った理由として,サプリメントによる免疫機能の賦活化が推察されるが詳細は不明である.症例はその後,右第6肋骨に新たな骨転移が出現したため,局所加療を勧めるも拒否,現在経過観察としている. |
索引用語 | 肝細胞癌, 自然退縮 |