セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR-03:

PET-CT、EUS-FNABが病期進行の判断に有用であった消化管濾胞性リンパ腫の1例

演者 森 淳史(津山中央病院 消化器・内視鏡センター)
共同演者 竹中 龍太(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 岡 昌平(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 野島 一郎(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 馬場 雄己(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 浜田 健太(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 赤穂 宗一郎(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 朝戸 俊行(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 河合 大介(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 竹本 浩二(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 平良 明彦(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 柘野 浩史(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 朝倉 昇司(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 血液内科)
抄録 【症例】60代、男性。1年前に胃幽門前庭部大弯の分化型粘膜内癌を内視鏡的に切除した。定期フォローのEGDにて十二指腸乳頭部近傍に多発する褪色調顆粒状粘膜を認め、生検にてFollicular lymphoma, grade 1と診断した。PET-CTでは十二指腸を含めてFDG集積は確認できなかったが、カプセル内視鏡で上部空腸に褪色調の顆粒状粘膜を認めた。経口DBEにて空腸に多発する褪色粘膜を認め、また経肛門的DBEでは回腸に病変を指摘できなかったが、直腸Rbに3mm表面平滑な隆起性病変を認め、生検にていずれもFollicular lymphoma, grade 1と診断した。以上より消化管に多発する濾胞性リンパ腫と診断した。血液内科専門医にコンサルトし、watchful waitingの方針となった。方針決定後8ヶ月でPET-CT施行、胃角部小弯にSUVmax 5.62のFDG集積を伴う腫瘤性病変の出現を認めた。内視鏡治療を行った早期胃癌が適応拡大病変であり、早期胃癌のリンパ節転移の可能性も否定できなかったためEUS-FNABを施行した。その結果、lymphoid cellが集簇し、マーカー上はCD20陽性、CD10陽性、bcl-2陽性でFollicular lymphomaと診断した。再度血液内科コンサルトし、Rituximabによる治療を開始した。【考察】内視鏡診断技術の進歩により無症状で発見される消化管濾胞性リンパ腫症例が増加している。FIPI(Follicular International Prognosis Index)は年齢60歳以上、病期がIII期またはIV期、ヘモグロビン12g/dl以下、血清LDHが正常値を超える、リンパ節領域数4ヵ所以上、の陽性項目数によるリスク分類で、濾胞性リンパ腫の予後に関連していることが報告されている。しかしながら消化管に限局する濾胞性リンパ腫に対する明確な治療指針は定まっていない。今回われわれは十二指腸と空腸、直腸に限局した濾胞性リンパ腫が比較的短期間に増悪し、その判断にPET-CT、EUS-FNABが有用であった1例を経験した。濾胞性リンパ腫の治療方針を検討する上で示唆に富む症例と考え、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 消化管濾胞性リンパ腫, EUS-FNAB