セッション情報 一般演題

タイトル O-43:

ステロイドミニパルスが鑑別診断に有用であった下部胆管狭窄の2例

演者 馬場 雄己(津山中央病院 内科)
共同演者 柘野 浩史(津山中央病院 内科), 岡 昌平(津山中央病院 内科), 岡崎 倫子(津山中央病院 内科), 濱田 健太(津山中央病院 内科), 赤穂 宗一郎(津山中央病院 内科), 山崎 泰史(津山中央病院 内科), 朝戸 俊行(津山中央病院 内科), 高山 裕基(津山中央病院 内科), 河合 大介(津山中央病院 内科), 竹本 浩二(津山中央病院 内科), 竹中 龍太(津山中央病院 内科), 平良 明彦(津山中央病院 内科), 藤木 茂篤(津山中央病院 内科)
抄録 症例1は40歳代男性。糖尿病のため近医通院中に黄疸が出現し、当科紹介入院。血液生化学検査で胆道系酵素の上昇、IgG4高値(226mg/dl)を認めた。造影CTでは膵頭部に腫瘤を認め、MRI拡散強調画像(DWI)で同部に高信号域、PET-CTでは同部に異常集積を認めた。ERCPでは主膵管に広範囲の狭細化を認め、下部胆管の閉塞部からのブラシ擦過細胞診はclassIIであった。EUS-FNAでは細胞診classIIIで、自己免疫性膵炎(AIP)と癌との鑑別に苦慮し、AIP診断基準に準拠して、ステロイドの反応性をステロイドミニパルス療法2週間後に確認した。MRI-DWIでは膵頭部の高信号域は著明な縮小と改善を認め、ERCPでは主膵管の狭細化は軽度改善し、下部胆管狭窄の著明な改善を認めた。これらからAIPと診断し、ステロイド療法を開始。癌の併存の可能性も考慮し、外来で厳重に経過観察中である。症例2は70歳代女性。近医入院中に急性膵炎を3回繰り返し、胆道系酵素上昇も出現し、精査目的で転入院となった。血液生化学検査では胆道系酵素の上昇を認め、IgG4正常、抗核抗体陽性、DUPAN-2高値であった。MRCPでは上中部胆管に軽度拡張を認め、DWIで膵の広範囲に軽度高信号を認めた。ERCPでは胆管下部に狭窄を疑い、ブラシ擦過細胞診を実施。ClassIIであった。膵には画像所見上はSOLは認めず、EUS-FNAは施行しなかった。IgG4は正常値だがAIPなどの可能性を考慮し、診断目的にステロイドミニパルス療法を開始。2週間後のDWIで膵高信号の改善なく、MRCPで胆管狭窄の進行を認めた。黄疸が出現し、再度ERC実施。下部胆管の不整な狭窄からのブラシ擦過細胞診でclassVが判明。下部胆管癌もしくは膵頭部癌と診断した。認知症のため手術は断念し化学療法を施行中である。癌とAIPとの鑑別に、ステロイドミニパルスを用いた診断的治療法は有用であると考える。
索引用語 自己免疫性膵炎, ステロイドパルス