セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-08:

Microsatellite instability-high(MSI-H)を認めた原発性小腸癌の1例

演者 皿谷 洋祐(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科)
共同演者 田中 彰一(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 平田 尚志(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 谷岡 大輔(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 田中 盛富(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 横峰 和典(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 藤本 剛(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 宮下 真奈備(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器内科), 金谷 信彦(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器外科), 二宮 卓之(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 消化器外科), 山崎 理恵(独立行政法人 国立病院機構 岩国医療センター 臨床検査科病理)
抄録 【はじめに】MSIはDNAミスマッチ修復機構の異常であり、serrated pathwayやHereditary non-polyposis colorectal cancer(HNPCC)との関連がいわれている。今回我々はMSI-Hの原発性小腸癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。【症例】60歳代男性。1週間ほど続く嘔吐、左季肋部痛を主訴に近医を受診し、上部消化管造影検査で上部空腸に瘤状の拡張を指摘されたため当院紹介となった。既往歴として46歳時にS状結腸癌のためS状結腸切除術、術後化学療法を施行された。入院時の身体所見は、左季肋部に圧痛を認めたが、腫瘤は触知しなかった。血液検査結果はHb 9.6mg/dlと貧血を認めた他、腫瘍マーカーを含め異常所見は認めなかった。腹部造影CTで上部空腸に造影効果のある壁肥厚を認め、下行結腸への浸潤が疑われた。PET-CTでは同部位の他に集積を認めなかった。ダブルバルーン小腸内視鏡検査(DBE)では上部空腸に周堤の目立たない全周性の深い潰瘍形成を認め、生検の結果、低分化腺癌と術前診断された。DBE下空腸造影検査では同病変は6cmに渡る瘤状の拡張を呈していた。カプセル内視鏡検査ではその他の小腸に異常所見を認めなかった。治療として空腸結腸部分切除術を行い、術後診断は空腸低分化腺癌SI(下行結腸),N1,M0,pStageIIIaであり、MSI-Hであった。術後化学療法としてXELOX療法を施行しており、2コース終了した現在増悪なく経過している。【結語】現在小腸癌の標準化学療法は確立していないため、大腸癌や胃癌に準じて施行されることが多い。一方、大腸癌においてはMSIは発癌経路に深く関与する因子であるのみならず、化学療法の効果予測因子であることも報告されている。小腸癌は頻度が少なく、現時点においては小腸癌におけるMSIの意義は不明であるが、今後の症例の集積による検討が必要と思われた。
索引用語 小腸癌, MSI