セッション情報 シンポジウム「中国地方における消化器病専門女性医師の活躍と環境整備」

タイトル S-09:

透視下検査・治療の被爆量軽減にむけての当院の取り組み

演者 篠原 芙美(広島赤十字原爆病院)
共同演者 木曽 まり子(広島赤十字原爆病院), 坂野 文香(広島赤十字原爆病院), 齋 宏(広島赤十字原爆病院), 古川 善也(広島赤十字原爆病院)
抄録 【背景と目的】透視下で行う検査、治療における透視時間の増加に伴いスタッフの被爆が増えている。近年の女性医師の増加により放射線被曝は軽視できない問題である。そこで検査室内全体の散乱線低減と被爆低減を目的とし防護具を設計・作成し、被験者に被爆の影響を与えること無く術者、スタッフともに大幅な被爆量低減を確認したので報告する。【方法】(1)散乱線分布等を考慮し鉛防護布の防護能力や遮蔽方法等を工夫した防護具の設計・作成。(2)散乱線平面での分布から散乱線の最も多い場所を確認し、その位置での床からの高さ165cm(水晶体),150cm(甲状腺),100cm(生殖腺)3か所の散乱線量を測定する。(3)スタッフ立ち位置(a.術者, b.放科看護師, c.医師, d.内視鏡看護師) 4か所の高さ165cm、150cm、100cmを測定点とし、防護具の有無で散乱線測定を行い比較する。防護具装着前後の術者の外部被爆線量を比較し実際の有用性を検討した。(4)防護具を用いることで、被験者の被爆増加が懸念されたことから散乱線に対する被験者の影響をファントムを用いて検討した。【結果】防護具を用いると室内全体で散乱線が1/2~1/50に低減した。散乱線の最大値は管球そば50cmで術者甲状腺位置であり、実際に術者の防護具を使用したことで散乱線は1/50に低減し、有効実効線量で検出限界以下となった。スタッフ立ち位置でも1/15~1/20に低減した。防護具の有無でファントム内の散乱線量に差がなかった。【考察】専用の防護具により術者の操作を妨げることなく、なおかつ被験者の被曝量の影響を与えることなく、室内全体の散乱線被爆低減ができた。現在、消化器内科ではバルーン内視鏡、食道静脈瘤硬化療法、ERCP関連手技など多くの透視下の検査、処置が行われている。放射線業務に関わる妊娠可能な女性が、安心して働ける労働環境整備をすることで女性医師の活躍の機会がますます広がると考える。
索引用語 被曝量軽減, 透視下