セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-05:

プロトンポンプ阻害剤併用によるワーファリンの効果増強で消化管出血を生じたと考えられる2例

演者 住元 旭(広島記念病院 内科)
共同演者 隅井 雅晴(広島記念病院 内科), 松本 健太(広島記念病院 内科), 山本 隆一(広島記念病院 内科), 炭田 知宜(広島記念病院 内科), 児玉 英章(広島記念病院 内科), 田村 忠正(広島記念病院 内科), 津賀 勝利(広島記念病院 内科), 江口 紀章(広島記念病院 内科)
抄録 プロトンポンプ阻害剤(PPI)は胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療の他、適応拡大されたこともあって高齢者を含め広く使われるようになっている。一方、感染性腸炎、骨粗鬆症に伴う骨折、肺炎など長期投与に伴う副作用も懸念されている。また、肝薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、代謝系が共通する薬物を併用する時には効果の増強・減弱に注意を払う必要が生じる。今回我々は、CYP2C19で代謝されるワーファリン投与中に、PPI併用が関与したと考えられる凝固能異常により消化管出血が生じた2例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例1】80歳代女性、心臓弁膜症術後でワーファリン投与中であった。経口摂取不良のため平成2○年7月胃瘻を造設し、以後PPIを併用投与された。同年10月胃瘻穿刺部より出血が見られたため当院に入院となった。入院時、Hb6.2g/dl、PT4.7%、INR7.2と高度の貧血と凝固能低下を認めた。PPIによるワーファリンの効果増強が出血の原因と考え2剤とも中止したところ、PTが回復し自然止血に至った。その後H2拮抗薬に変更し投与継続したが再出血は見られていない。【症例2】70歳代男性、慢性心房細動に対してワーファリン内服中、以前にも原因不明の貧血で他院入院歴があった。平成2○年10月持続する下血精査のため当院へ紹介入院となった。入院時、Hb4.8g/dlと高度の貧血状態にあり、PT、INRはともに測定不可であった。持参薬にワーファリン、PPIがあったためPPIを中止、輸血を行い凝固能の回復を待った。第3病日以降、下血は消失した。
索引用語 プロトンポンプ阻害剤, CYP2C19