セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

総胆管結石症に対する治療法の選択と長期成績 (EST:内視鏡的治療 vs LCBDE:腹腔鏡下手術)

タイトル 内W15-6追:

当院における胆嚢、胆管結石の治療戦略

演者 金森 明(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 胆嚢、胆管結石の治療は炎症や結石の有無により異なり、内科と外科の双方に治療が跨ることもあり未だ一定のコンセンサスを得られているとは言い難い。胆管結石に対する内視鏡的治療の早期および長期成績の検討を行い、施設での治療の妥当性を検討した。【対象、方法】当院で内視鏡治療を施行した胆管結石1389例中、初回治療で経過観察が可能であった1210例(EST:956例、EPBD:254例)を対象とした。検討項目は各治療群における患者背景の比較、長期治療成績とした。【成績】1)平均年齢はEST群69.8歳、EPBD群58.3歳。50歳未満の若年者はEST群71例(9.7%);EPBD群73例(28.1%)であり80歳以上の高齢者はEST群210例(22.0%);EPBD群10例(3.9%)であった。結石径では単発で径10mm未満の比率がEST群64.8%;EPBD群81.6%であった。2)完全截石率はEST群97.4%、EPBD群は97.6%であり、ほぼ同等の成績であった。偶発症は急性膵炎がEST群16例1.7%に対してEPBD群は14例5.5%と高率であった。出血をEST群の34例3.5%に認めた。3)長期治療成績;初回治療成功例1210例のうち胆管結石の治療時に胆嚢を有していた921例を対象としてpropensity scoreを用い、年齢、性、結石径、憩室の有無、胆嚢の状態をマッチさせたところ、EST群、EPBD群、各183例が選択され、長期成績の検討を行った。Kaplan-Meier法を用いて検討した膵胆道障害の1、3年後の累積発生率はEST群8.7%(1年)、25.3%(3年)、EPBD群5.8%(1年)、12.2%(3年)であり膵胆道障害の発生率はEPBD群が低率であった(p=0.0117)。胆嚢の状態を截石後胆摘例(A)196例、無石胆嚢例(B)77例、胆嚢結石放置例(C)93例の3群間における解析では、累積発症率がAvsB(p=0.0003)およびAvsC(p<0.0001)で有意差を認めた。また胆嚢放置した群に有意差は認めないものの胆嚢結石放置例で高率に発生する傾向にあった。BvsC(p=0.0640)【結論】内視鏡的治療後の胆嚢の治療方針により長期予後に有意差がみられた。胆嚢結石保有例では、胆摘例での胆管結石再発が少なく、可能であれば胆摘術を施行することが望ましいと考えた。
索引用語 胆管結石, 胆嚢摘出