抄録 |
【目的】六君子湯は胃腸虚弱、食欲不振等に対して効能があると言われており、使用頻度が高い漢方薬であるが、実際にどのような症例に対して有効であるかを知るための検討を行った。【方法】対象は平成22年6月~平成23年10月の間に当院で六君子湯を投与された計50例。これらを年齢、性別、投与理由の症状、内視鏡所見、投与方法の各項目で有効率を比較検討した。また投与中止した症例はその理由について検討した。【成績】対象症例の年齢は25歳~88歳(平均60.4歳)、性別は男性16名、女性34名。投与期間は1週間~48ヶ月で平均4.7ヶ月、中央値1ヶ月だった。有効率は有効13例、やや有効11例、無効16例、評価不能10例で、やや有効を含めての有効率は60%だった。項目別の有効率の検討では、年齢では60歳以上が60歳未満よりも有意に有効率が高かった(P<0.05)。性別では女性、症状では胃痛、胸やけよりも食欲不振、もたれ等の症状がわずかに有効率が高かった。また内視鏡所見では所見ありよりも所見なしの群が、投与方法では単独投与群よりもプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーとの併用群の方が有効率が高い傾向であったが有意差はなかった。調査期間中に投与中止した症例(42例)の理由は他疾患の治療のため8例、服薬困難、無効であるため、症状消失したためが各々7例で理由不明が13例あった。【結論】今後さらに多数症例を検討して、より効果が期待できる群を絞り込むことができれば、より効率よく投与が可能になると思われた。 |