セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル O-47:

脾炎症性線維芽細胞腫瘍(IMT)の1例

演者 岡 寿紀(岡山済生会総合病院 内科)
共同演者 川上 万里(岡山済生会総合病院 肝臓病センター), 後藤田 達洋(岡山済生会総合病院 内科), 安原 功(岡山済生会総合病院 外科), 児島 亨(岡山済生会総合病院 外科), 仁熊 健文(岡山済生会総合病院 外科), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院 肝臓病センター), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院 肝臓病センター), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院 肝臓病センター), 糸島 達也(岡山済生会総合病院 肝臓病センター), 河田 一郎(河田内科クリニック)
抄録 症例は50歳代女性。20○○年10月、「薬物性肝障害」にて当院入院加療中、腹部CTにて脾臓に8cm大の腫瘤と左腎静脈~背部に3cm大の腫瘍が描出された。臨床所見では発熱が持続し、血液検査上ではWBC 9730/μlとCRP 5.2 mg/dlと炎症所見を得た。また可溶性IL-2R 1850 U/mlと上昇していた。造影CTにて脾腫瘍は境界明瞭、内部は不均一で拡張した血管を認め、実質は辺縁から徐々に濃染した。左腎静脈周辺の病巣も脾臓と同じ濃染パターンであった。MRIT2強調像で脾腫瘍は著明な高信号を来さず、またFDG-PETにて脾病巣と左腎静脈周囲の病巣に強い集積を認めた。以上より「脾血管肉腫とその転移」が疑われ、摘出術を行った。摘出標本は脾臓に線維性被膜に囲まれた10cm大の結節病変を認め、病理組織学的検索にて「炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)」と診断された。左腎静脈周囲の病変は「神経鞘腫」であった。
炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)は筋線維芽細胞の特徴を示す紡錘形細胞の増生を主体とし、リンパ球や形質細胞などの炎症細胞浸潤からなる腫瘤性病変である。肺や消化器領域をはじめあらゆる身体部位に発生し得ることが報告されているが、脾原発はきわめて稀で国内報告例も10例に満たない。若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 炎症性筋線維芽細胞腫, 神経鞘腫