セッション情報 一般演題

タイトル O-30:

HBV無症候性キャリアに発症した肝粘液性嚢胞腺腫の1例

演者 菅 宏美(広島大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 柘植 雅貴(広島大学病院 消化器・代謝内科), 佐上 晋太郎(広島大学病院 消化器・代謝内科), 藤野 初江(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小林 知樹(広島大学病院 消化器・代謝内科), 福原 崇之(広島大学病院 消化器・代謝内科), 柾木 慶一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 中原 隆志(広島大学病院 消化器・代謝内科), 苗代 典昭(広島大学病院 消化器・代謝内科), 宮木 大輔(広島大学病院 消化器・代謝内科), 河岡 友和(広島大学病院 消化器・代謝内科), 高木 慎太郎(広島大学病院 消化器・代謝内科), 平松 憲(広島大学病院 消化器・代謝内科), 今村 道雄(広島大学病院 消化器・代謝内科), 相方 浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 高橋 祥一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科), 天野 尋暢(広島大学病院 消化器外科), 大段 秀樹(広島大学病院 消化器外科), 有廣 光司(広島大学病院 病理診断科)
抄録 【症例】50歳、女性【主訴】心窩部痛【現病歴】2011年6月よりHBV無症候性キャリアとして当院外来にて経過観察されていた。2012年8月27日心窩部痛出現。翌日近医にて腹部超音波検査、血液検査を受けるも診断には至らず、鎮痛剤投与されたが心窩部痛が持続し、発熱を認めたため当科外来受診。腹部超音波検査および腹部造影CTにて肝S4の嚢胞性病変増大ならびに嚢胞周囲に淡い造影効果を認めたことから、感染性肝嚢胞を疑い、精査加療目的にて入院した。【臨床経過】入院後、経皮経肝ドレナージを施行し、わずかに混濁する暗緑色の内容物を吸引採取。その後、発熱、心窩部痛は消失し、経口摂取も可能となったが、穿刺4日後より再度心窩部から左季肋部にかけての鈍痛出現。腹部超音波検査にて、嚢胞の再増大を認めたため、再度ドレナージを施行。以後、心窩部痛は消失し、経過良好であったが、穿刺液内の腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)が高値であり、悪性腫瘍が否定できないこと、今後も再発を繰り返す可能性があることを踏まえ、十分なインフォームドコンセントを行い、10月10日、肝左葉切除を施行。病理検査にて、嚢胞内腔は大型類円形の腫瘍細胞で被覆され、嚢胞周囲の間質には小型紡錘形の卵巣様間質細胞を認め、Mucinous cystadenoma(以下MCA)と診断された。現在、術後4ヶ月であるが、再発は認めていない。【考察および結語】本症例は、HBV無症候性キャリアに合併した肝MCAの一例である。MCAは胆膵領域ではしばしば経験されるものの、肝に発生するものは稀であり、悪性化の報告も散見される。鑑別が困難となる症例が多く、示唆に富む症例と考えられたので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝, MCA