セッション情報 一般演題

タイトル O-05:

Colitic Cancer と肝内胆管癌を合併したPSC合併潰瘍性大腸炎の一例

演者 浜辺 崇衣(聖比留会 セントヒル病院)
共同演者 檜垣 真吾(聖比留会 セントヒル病院), 松元 裕輔(聖比留会 セントヒル病院), 坂井田 功(山口大学医学部附属病院 消化器病態内科学講座)
抄録 症例は、60台女性。14年間加療する潰瘍性大腸炎でPSCを合併する。他医でSASPとウルソで治療されていたが、右背部痛の訴えに対して、その原因精査を本院へ依頼された。腹部CT上肝内胆管の軽度拡張、膵頭部腫大、上行結腸の限局性の壁肥厚を認めたが、特に治療の変更はなく経過観察となった。10ヶ月後AST 161 1U/lALT 102 1U/lの肝障害についてMRCPで精査を行った。画像上PSCの肝内胆管狭窄像と数珠状拡張はあったが肝内には占拠性病変はなかった。CEAは2.6 ng/ml CA19-9は39.1U/mlと軽度上昇に留まった。その半年後、食欲不振と体重減少が現れ、腹部エコー検査、造影CT検査にてS6に38mmの造影効果のない腫瘍を認めた。CA19-9は187.3U/mlと上昇した。この間に潰瘍性大腸炎は寛解維持され再燃はない。本腫瘍はCCCが疑われたが、転移性肝癌を除外する目的でFDG-PETと大腸内視鏡検査を行った。FDG-PETでは、肝S6領域に末梢側肝内胆管拡張を伴う腫瘤と3個の多発病変、結腸は肝弯曲とS状結腸に限局性FDG集積亢進を認めた。大腸内視鏡検査では全大腸炎でBaronの内視鏡分類1の寛解に相当したが、上行結腸に2cm大のLST-G、S状結腸と直腸に全周性の絨毛状腫瘍を認めた。これらの腫瘍と大腸各部位の正常粘膜から生検を行ったが、Group 5が得られたのは、正常に見えた盲腸の粘膜のみで、絨毛状腫瘍はGroup 3であった。山口大学第二外科に肝腫瘍の摘出術が施行され、腫瘍は組織学的に中等度分化型胆管癌であった。Stage 4A、治癒度Bにて予後を考え大腸切除はせず化学療法が施行されたが、術後一年目に永眠された。FDG-PETは、大腸内視鏡検査で捉えられたColitic Cancerのすべてを検出できなかった。
索引用語 潰瘍性大腸炎, PSC