セッション情報 一般演題

タイトル O-14:

蛋白漏出性胃腸症を伴う好酸球性胃腸炎の1例

演者 朝山 直樹(広島大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 北台 靖彦(広島大学病院 消化器・代謝内科), 永井 健太(広島大学病院 消化器・代謝内科), 東山 真(広島大学病院 消化器・代謝内科), 松尾 泰治(広島大学病院 内視鏡診療科), 佐野村 洋次(広島大学病院 内視鏡診療科), 岡  志郎(広島大学病院 内視鏡診療科), 吉田 成人(広島大学病院 内視鏡診療科), 上野 義隆(広島大学病院 内視鏡診療科), 伊藤 公訓(広島大学病院 消化器・代謝内科), 田中 信治(広島大学病院 内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 【症例】20歳代、女性。【主訴】心窩部痛、下腿浮腫。【現病歴】入院1ヶ月前より心窩部痛、両下腿・顔面の浮腫が出現した。近医で上部消化管内視鏡検査を施行され、胃粘膜に多発するびらんを認めたため、プロトンポンプ阻害剤(ラベプラゾール;RPZ)と粘膜保護剤(レバミピド)を処方された。また、同院で施行された血液検査で低蛋白血症(総蛋白:5.5 g/dl, Alb:3.2 g/dl)を認め、精査目的に入院11日前に当院紹介となった。血液検査で好酸球増加(7.8%)と低蛋白血症の増悪(総蛋白:4.0 g/dl, Alb:2.3 g/dl)、可溶性インターロイキン-2受容体の高値(706U/ml)、更に腹部超音波検査で胃前庭部の壁肥厚と少量の腹水を認めたため、精査・加療目的に入院となった。【経過】初診時血液検査で末梢血好酸球分画の増加と低蛋白血症を認めた。上部消化管内視鏡検査では胃体部に発赤、腫大した皺襞、びらん、及び白色滲出物の付着を広範に認め、生検組織で粘膜内に多数の好酸球が浸潤していた。超音波検査と腹部CT検査で層構造の保たれた胃壁の肥厚と少量の腹水を認めた。蛋白漏出シンチグラフィーより蛋白漏出性胃腸症を伴う好酸球性胃腸炎と診断した。ステロイド剤を併用することなく、RPZ、粘膜保護剤(レバミピド、エカペドナトリウム)内服のみですみやかに症状は改善した。初回の血液検査で好酸球分画の増加を認めたが、以後、白血球、好酸球分画共に異常なく経過した。症状の改善と共に低蛋白血症は改善した。第7病日に施行した上部消化管内視鏡検査では、体下部大弯皺襞の浮腫は消失し、びらんも少数となっていた。びらん部からの生検では好酸球浸潤は残存するも、それ以外の部位では好酸球浸潤は改善していた。入院中に症状の増悪なく経過したため第11病日退院となった。現在外来通院だが、再発なく経過している。【結語】ステロイド剤を使用することなく、プロトンポンプ阻害剤と粘膜保護剤のみで軽快した蛋白漏出性胃腸症を伴う好酸球性胃腸炎の1例を経験したので報告する。
索引用語 好酸球性胃腸炎, 蛋白漏出性胃腸症