セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-01:

化学療法が奏功した胃腺癌と食道神経内分泌細胞癌の重複癌の1例

演者 永尾 未怜(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学)
共同演者 岡本 健志(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 西村 純一(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 横田 恭之(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 中村 宗剛(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 五嶋 敦史(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 西川 潤(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学)
抄録 症例は70歳代、男性。約一ヶ月前より嚥下困難を自覚し近医を受診。上部消化管内視鏡検査(EGD)で食道と胃に病変を指摘され、精査加療目的で2012年10月、当科紹介となった。当院でのEGDでは、胸部上部~下部食道に一部で管腔のほぼ全周を占める3型腫瘍と胃角部小弯に径5cm程度の3型腫瘍を認めた。生検では食道病変が神経内分泌細胞癌、胃病変が低分化型腺癌と診断された。頸胸腹骨盤部造影CTでは頸部、縦隔および腹部の多発リンパ節腫大と肝S4とS2に径10mm前後の周囲に造影効果を伴う低吸収域を認め、転移と考えられた。切除不能と判断し治療は化学療法を選択した。肺小細胞癌の治療成績や胃腺癌への感受性を考慮し、抗癌剤はイリノテカンとシスプラチンを選択した。1クール施行後、食道病変、胃病変および転移巣の縮小を認め、自覚症状も消失したが腎機能が悪化、ハイドレーションによる心不全も認めた。2クール目からはシスプラチンをカルボプラチンに変更し治療を継続したところ、腫瘍はさらに縮小し経過している。食道神経内分泌癌は比較的まれな疾患であり、胃腺癌の合併も非常にまれである。有効な化学療法は確立されていないが、今回肺小細胞癌に準じた化学療法を行うことにより奏功した。文献的考察も併せて報告する。
索引用語 食道神経内分泌細胞癌, 化学療法