セッション情報 一般演題

タイトル O-48:

腹腔動脈狭窄に伴うsegmental arterial mediolysis(SAM)の一例

演者 大林 由佳(広島市立広島市民病院 内科)
共同演者 小林 功幸(広島市立広島市民病院 内科), 河村 良太(広島市立広島市民病院 内科), 佐々木 美緒(広島市立広島市民病院 内科), 中野 憲仁(広島市立広島市民病院 内科), 溝口 理恵(広島市立広島市民病院 内科), 岩堂 昭太(広島市立広島市民病院 内科), 植松 周二(広島市立広島市民病院 内科), 小川 恒由(広島市立広島市民病院 内科), 中川 昌浩(広島市立広島市民病院 内科), 東 玲治(広島市立広島市民病院 内科), 平尾 謙(広島市立広島市民病院 内科), 宮武 宏和(広島市立広島市民病院 内科), 浦島 正喜(広島市立広島市民病院 放射線科), 水野 元夫(広島市立広島市民病院 内科), 荒木 康之(広島市立広島市民病院 内科)
抄録 【症例】78歳女性【既往歴】胆嚢摘出術、虫垂炎手術
【現病歴と入院後経過】2006年頃より近医で高アミラーゼ血症を指摘されていた。2010年12月末、突然の心窩部痛・背部痛が出現し当院救急外来受診。身体所見上、心窩部・背部の叩打痛を認め、血液検査ではAMY155IU/Lと軽度上昇を認めた。腹部超音波検査施行にて右腎周囲に液体貯留を認め、CT撮影前に一過性の血圧低下と気分不良を認めた。造影CTでは後腹膜血腫を認め、また腹腔動脈根部に高度狭窄を来していた。出血部位同定のため、緊急血管造影施行、入院加療となった。血管造影では腹腔動脈は閉塞を認めており、胃十二指腸動脈を介した血行路となっていた。前上膵十二指腸動脈に数珠状の不整な拡張像、いわゆるbeads like appearanceの所見を認め、破綻部位と考えられたため、コイル塞栓術を施行した。術後腹痛は除々に改善した。2週間後のCT撮影では、後腹膜血腫は縮小を認めており、経過良好にて退院となった。以後外来フォロー中であるが、症状再燃は認めていない。以上の経過と、血管炎等の基礎疾患もないことより、segmental arterial mediolysis(SAM)による後腹膜血腫と診断した。
【考察】SAMは筋性動脈の分節状中膜融解を来たし、多くの場合解離性動脈瘤を形成、破綻するという特徴を持つ疾患であり、原因は明らかではない。本例では腹腔動脈の著明な狭窄(閉塞)により膵十二指腸動脈アーケイドへの血流が増加し、動脈瘤を形成した可能性が示唆された。
索引用語 SAM, 後腹膜血腫