セッション情報 |
中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)
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タイトル |
SR-18:GEM・S1併用療法にて長期stable diseaseが得られている膵神経内分泌癌の一例
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演者 |
河村 良太(広島市立広島市民病院内科) |
共同演者 |
平尾 謙(広島市立広島市民病院内科), 小川 恒由(広島市立広島市民病院内科), 東 玲治(広島市立広島市民病院内科), 大江 啓常(広島市立広島市民病院内科), 中川 昌浩(広島市立広島市民病院内視鏡内科), 水野 元夫(広島市立広島市民病院内科) |
抄録 |
症例は70歳代男性、高脂血症、高尿酸血症、不眠症にて近医通院中。2011年11月末より腹部膨満感が出現した。近医での血液検査で肝胆道系酵素上昇があり、腹部超音波検査で多発肝腫瘍を認めたため、当院へ紹介入院となった。CTにて膵頭部腫瘍、多発肝転移、腹部大動脈周囲リンパ節転移、腹膜播種を認め、また著明な胆道拡張と、門脈および下大静脈に腫瘍栓を伴っていた。超音波内視鏡(EUS)では膵頭部にドップラー法にて血流が比較的豊富な約5cm大の境界明瞭なモザイク状の低エコー腫瘤を認め、同腫瘤より針生検(EUS-FNA)を施行した。また胆道狭窄に対しては同日ERCPを行い、胆管チューブステントを留置した。多発肝転移が広範囲で肝機能異常も出現していたため、早期治療導入が必要と判断し、病理結果が出る前に膵癌としてGEM・S1併用療法を導入した。その後、病理組織では膵神経内分泌癌(p-NEC, MIB-1 index;35%)と判明したため、白金製剤を中心とした化学療法への変更も考慮したが、CTにて多発肝転移と門脈腫瘍栓が縮小し、血液検査にて肝機能異常も改善していることからGEM・S-1療法を継続とした。本症例はその後1年2か月の間stable diseaseを維持している。切除不能のp-NECに対する治療は一般的には白金製剤をベースとした多剤併用療法が行われている。しかし、本症例では膵癌化学療法であるGEM・S-1併用療法が奏功し、長期stable diseaseが得られており、p-NECに対する化学療法として有効な可能性があると考えられたので報告する。 |
索引用語 |
膵神経内分泌癌, GEM・S-1療法 |