セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-25:HBVとHCVの重複感染例に対し、3剤併用療法後にHBVの活動性の上昇を認めた1例
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演者 |
齋藤 宰(島根大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
佐藤 秀一(島根大学 医学部 附属病院 光学診療部), 飛田 博史(島根大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 三宅 達也(島根大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 石原 俊治(島根大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 木下 芳一(島根大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【症例】20歳代、男性(中国国籍)【既往歴】心臓手術歴あり、このとき輸血あり。【経過】2001年に大学受験のための身体検査でB型肝炎の指摘あり。2009年に来日したが、このときの検査でB、C型肝炎感染を指摘された。その後、倦怠感あり、精査加療目的に2010年6月に当院肝臓内科初診となった。初診時の検査ではAST 36IU/L、ALT 60IU/Lと軽度の肝機能障害を認め、ウイルス学的検査ではHBe-Ag (+)、HBe-Ab (+)、HCV genotype 1B、HBV-DNA(Taq-man) 8.5Logcopy/mL、HCV-RNA(Taq-man) 6.7LogIU/mLであった。HBVとHCVの重複感染であったが、その後の経過観察でHBV-DNA(Taq-man)は 3.2Logcopy/mLまで自然に減少し、HCVがdominantウイルスであると判断し、治療としてはHCV感染に対する治療を行う方針とした。HCVはgenotype 1Bであり、治療としては3剤併用療法を選択し、2012年7月に治療を開始した。この時点ではHBV-DNA(Taq-man) 3.8Logcopy/mL、HCV-RNA(Taq-man) 6.8LogIU/mLであった。3剤併用療法は治療薬の減量を行ったものの2013年1月まで完遂できた。HCV-RNAは治療開始後4週間目で陰性化し、以後陰性を維持している。しかし、治療終了後よりAST、ALT上昇あり、HBV-DNA(アキュジーン) 8.6Logcopy/mLと上昇し、HBe-Ag (+)、HBe-Ab (-)で、以降もAST、ALTは上昇傾向であり、HCV陰性化に伴うHBVの活動性上昇による急性肝炎と考えられた。このため、2月よりETVの内服を開始した。その後はAST、ALTは徐々に低下傾向にあり、現在も治療継続中である。【考察】HBVとHCVの重複感染では、慢性化した場合、単独感染と比べて肝硬変への進行、HCCの出現は早いことが知られており、治療に当たってはウイルスの優位性を評価して各症例に適した治療をすることが重要であるとされている。ただし、これに関してはまだ症例数も少なく、いまだ十分な情報があるとはいえない状況である。このような中、今回のように重複感染例に対し、3剤併用療法を施行した症例の報告はまだないため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 |
HBV、HCV重複感染, 3剤併用療法 |