セッション情報 一般演題

タイトル 47:

イレウスを頻回に繰り返していたが、診断・内科的治療にて劇的に症状改善した強皮症の一例。

演者 吉岡 京子(済生会呉病院 内科)
共同演者 藤田 朗(済生会呉病院 内科), 宍戸 孝好(済生会呉病院 内科), 田中 美和子(済生会呉病院 内科), 青木 信也(済生会呉病院 内科), 伊藤 博之(済生会呉病院 内科), 國田 哲子(済生会呉病院 内科), 松浦 秀夫(済生会呉病院 内科)
抄録 【背景】全身強皮症に伴う臓器障害の一つに消化管病変があり、食道病変は50~90%、小腸病変は50%、大腸病変は10~50%と割と頻度が高い。今回我々は、皮膚症状が軽いため強皮症の消化管症状と診断するのに難渋し、イレウスを2年間で5回繰り返し、徐々に再発までの期間が短くなってきた症例を経験した。診断後に適切な内科治療を行う事によって症状が劇的に改善し、以後経過良好な症例を経験したので報告する。【症例】63歳、女性【現病歴/経過】59歳時よりイレウスにて入退院を6回繰り返し、癒着性イレウスと考えられ加療されていた。経過を追うごとに再発までの期間が短縮していた。H●年●月●日(63歳3ヶ月)、腹痛、嘔気、嘔吐、腹満が出現し来院する。腹部レントゲン、腹部CTにてイレウスの再発と診断し入院となる。入院後手指の軽度硬化、レイノー現象と抗核抗体640倍、抗セントロメア抗体陽性を認め全身強皮症、限局型と診断した。小腸、大腸を中心としたイレウスに対し胃腸機能改善薬と抗生剤(Levofloxacin+Metronidazol)内服複数回投与にて症状の改善、数十年来の下痢も改善を認めた。以後2年間に渡りコントロール良好で経過している。【考察】全身強皮症、限局型の10年生存率は90%とされているが、吸収不良症候群や再発を繰り返す偽性腸閉塞、10%の体重減少は予後不良因子で、9年以内に85%が死亡したという報告がある。本症例でも頻回にイレウスを繰り返し、栄養状態も不良を認めた。しかし診断後内科的加療を行うことによって、経過良好な症例を経験したので報告する。
索引用語 全身強皮症、限局型, イレウス