セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 64:肝膿瘍に対する穿刺吸引後被膜下血腫を来した1例 |
演者 | 木科 学(鳥取大学医学部機能病態内科学) |
共同演者 | 孝田 雅彦(鳥取大学医学部機能病態内科学), 岡本 敏明(鳥取大学医学部機能病態内科学), 三好 謙一(鳥取大学医学部機能病態内科学), 藤瀬 幸(鳥取大学医学部機能病態内科学), 程塚 正則(鳥取大学医学部機能病態内科学), 杉原 誉明(鳥取大学医学部機能病態内科学), 徳永 志保(鳥取大学医学部機能病態内科学), 岡本 欣也(鳥取大学医学部機能病態内科学), 大山 賢治(鳥取大学医学部機能病態内科学), 法正 恵子(鳥取大学医学部機能病態内科学), 岡野 淳一(鳥取大学医学部機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学医学部機能病態内科学) |
抄録 | 症例は91歳男性。2013年7月に高熱、手指振戦にて当院救急搬送され、血液検査にてWBC 8700/μl、CRP 17.65mg/dlと炎症反応の増多、腹部造影CTにて肝S6,7,8に2013年2月には認めなかった15mm大の低吸収域を認め、肝膿瘍が疑われ、腹部エコーではいずれも低エコー腫瘤として描出でき、入院翌日に膿瘍穿刺吸引を行った。出血時間4分30秒、PT 57.9%、血小板 109000/μlと出血傾向は認めなかった。比較的膿瘍腔内部がcysticなS6、S7の膿瘍を穿刺対象とし、カラードップラー(CDUS)にて穿刺経路に血管を認めないことを確認の上で、22G PTCD針を用いて穿刺した。それぞれ約5mlの白色の膿汁を採取した。穿刺直後CDUSでは、明らかな出血を疑う所見はなく、バイタルサインの変化・腹部症状も認めず、手技を終了した。30分後より軽度右季肋部痛の訴えがあり腹部エコーで、肝表面に25mm程度の層状の被膜下血腫疑われたが、造影超音波検査では肝表面や腹腔内への明らかなソナゾイドの漏出は認めず、活動性の出血はないと判断した。腹部dynamic CTでも腹部エコー所見同様に肝表面からモリソン窩にかけて25mm程度の層状の被膜下血腫を認めたが、明らかなextravasationは認めなかった。血液検査にてHbは10.4g/dlから7.3g/dlまで低下しMAP 4単位を輸血したが、その後貧血の進行はなく、20日後の腹部エコー・腹部単純CTでは経時的に血腫の縮小を認めた。膿汁培養でEscherichia coliが検出されTAZ/PIPC 18mg/dayを9日間投与の後、LVFX 500mg/dayを10日間投与し、抗生剤終了後再燃なく、第28病日退院となった。今回出血傾向のない高齢患者に対し、細径の22G PTCD針を用いて膿瘍穿刺施行した後に、穿刺合併症として肝被膜下血腫を発症した1症例を経験した。おそらく膿瘍に近接した血管からの出血と考えられ、細径針による穿刺においても厳重な経過観察が必要である。 |
索引用語 | 肝膿瘍, 穿刺後出血 |