共同演者 |
松本 善明(呉市医師会病院 内科), 江木 康夫(呉市医師会病院 内科), 片山 紀彦(呉市医師会病院 内科), 住谷 大輔(呉市医師会病院 外科), 藤森 正彦(呉市医師会病院 外科), 奥川 浩一(呉市医師会病院 外科), 中塚 博文(呉市医師会病院 外科), 亀田 祐子(呉市医師会病院 放射線科), 大本 俊文(呉市医師会病院 放射線科), 谷山 清己(呉医療センター 中国がんセンター 病理診断科 ) |
抄録 |
症例は60歳代の男性。20XX年2月頃より排便時出血、肛門痛を認め、出血が持続するため、4月に近医を受診、直腸診にて腫瘤を触知したため、精査加療目的にて4月末に当院紹介受診となった。来院時の血液検査ではCEA、SCCといった腫瘍マーカーも含め、正常範囲であり、直腸診では肛門に腫瘤を触知し、出血を認めた。腹部造影CT検査では肛門から下部直腸右側に空洞と強い造影効果を伴う60mm大の腫瘤を認めた。注腸X線検査では肛門管の右側に深い陥凹性病変を認めた。大腸内視鏡検査では肛門管に潰瘍性病変を認め、生検にてGroup5(粘表皮癌)であった。進行肛門管癌と診断し、後日当院外科にて腹会陰式直腸切断術を施行、病理組織では肛門周囲皮膚から下部直腸にわたる肛門管癌 (type2, 60×60mm, mucoepidermoid carcinoma, pA, int, INFb, ly0, v1, pN2(5/24)), pPM0, pDM0, pRM0)であった。術後経過は良好であり、現在まで再発なく経過している。肛門管癌は大腸癌のなかで1%前後と頻度は少ないとされる。さらに、肛門管癌のうち粘表皮癌は稀な組織型であり、本邦での報告はほとんど認めない。今回、その稀な1例を経験したので、若干の文献的考察を含めて報告する。 |