セッション情報 一般演題

タイトル 53:

骨硬化性骨転移をきたした肝内胆管癌の1例

演者 徳永 志保(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野)
共同演者 孝田 雅彦(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 岡本 敏明(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 三好 謙一(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 木科 学(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 藤瀬 幸(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 程塚 正則(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 杉原 誉明(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 岡本 欣也(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 大山 賢治(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 法正 恵子(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 岡野 淳一(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野), 村脇 義和(鳥取大学医学部 機能病態内科学分野)
抄録 症例は71歳女性。2010年2月発熱を主訴に受診し、肝S7にφ35mm+φ20mmだるま状の腫瘍を指摘された。各種画像検査で肝内胆管癌と診断し、2010年4月拡大肝後区域切除術を施行した。病変は下大静脈に接していたため、術後GEM 1200 mg/bodyを全身投与していたが、明らかな再発を認めなかったため、1年で終了とした。その後外来で経過観察していたが、手術から3年後のCTで第1腰椎(L1)に19mmの骨硬化像が出現し、精査目的に入院となった。血液検査では、CEA 3.3、CA19-9 37.6とCA19-9の軽度上昇のみであった。CTでL1椎体に骨硬化像を認め、MRIではL1椎体にT1WI-T2WI低信号、脂肪抑制T2WIで低信号の腫瘤を認めた。骨シンチでL1の硬化像に一致して集積を認めたが、PET-CTではL1に集積を認めず、他にも集積部位はなかった。骨病変は3ヶ月前14mmから19mmに経時的に増大しており、骨転移の可能性が最も考えられたため、確定診断のため骨生検を施行した。組織は類円型の核、高円柱状の細胞質を有する異型腺上皮が管状に増生しており、肝内胆管癌の骨転移と診断した。同部にラジオ波焼灼術を行い、その後経過観察している。今回我々は術後3年で骨硬化性骨転移をきたした肝内胆管癌1例を経験した。消化器癌の骨転移ではまれな造骨性の所見であったため、画像診断だけでは確定診断に至らず、骨生検で診断した。又、L1の他に転移巣を認めず、治療として骨転移に対するラジオ波焼灼術を選択した。ラジオ波焼灼術で局所制御ができれば、負担の大きい全身化学療法を回避でき、患者の負担を軽減できる。今後慎重に経過観察し、L1骨転移の増大や、他部位に転移が出現した場合には放射線治療や全身化学療法を検討する。肝内胆管癌の造骨性骨転移はまれであり、PET-CTで検出できず、興味深い症例と考え報告した。
索引用語 肝内胆管癌, 骨転移