セッション情報 シンポジウム1「肥満と消化器疾患の関わり」

タイトル S1-04:

大腸CT検査を用いた大腸腫瘍の診断と肥満の評価

演者 木村 佳起(川崎医科大学 消化管内科学)
共同演者 松本 啓志(川崎医科大学 消化管内科学), 大澤 元保(川崎医科大学 消化管内科学), 塩谷 昭子(川崎医科大学 消化管内科学), 春間 賢(川崎医科大学 消化管内科学)
抄録 【背景】本邦の大腸癌(colorectal cancer; CRC)罹患率・死亡率は上昇しており、そのサーベイランスは重要な課題である。本邦におけるCRCの診断は大腸内視鏡検査がゴールドスタンダードであるが、近年Multi detector-row Computed Tomography (MDCT)用いた大腸CT検査の有用性も報告されている。大腸CT検査は大腸腫瘍のみならず、腸管外病変の検出、脂肪面積の測定にも有効である。一方でCRCは、肥満、特に内臓脂肪との関連性が指摘されている。【目的】大腸CT検査による大腸腫瘍の診断を行うとともに、肥満、内臓脂肪の評価ならびに脂肪関連サイトカンであるアディポサイトカイン測定を組み合わせ、新しい大腸疾患の診断法を開発する。【方法】大腸内視鏡検査の適応のある153名(男性90例、女性63例)を対象とした。大腸内視鏡検査、大腸CT検査を同日施行し、内視鏡と大腸CT検査の診断精度比較を行い、無病変群56名(男性30名、女性26名)、腺腫性ポリープ群52名(男性29名、女性23名)、早期癌群27名(男性17名、女性10名)、進行癌群18名(男性14名、女性4名)の4群に分類した。大腸CT検査で得られた腹部断層画像を用いて、腹囲、内臓脂肪面積、内臓脂肪量を測定した。また、アディポサイトカインである血清アディポネクチン、レプチン、TNF-αを測定した。【結果】ポリープ群は、無病変群と比較して、内臓脂肪面積(150.7cm2vs115.2cm2, p<0.05)、内臓脂肪INDEX(91.5cm2/m2vs 70.1cm2/m2, p<0.05)が有意に高値であった。また、これらの因子は単変量および多変量解析で有意差を認めた。早期大腸癌群は、無病変群と比較して血清TNFαが優位に低下しており(14.9pg/ml vs 27.1 pg/ml, p<0.05)、単変量および多変量解析で有意差を認めた。進行癌群は、無病変群と比較してHDLが優位に低下しており(45.1mg/dl vs 56.6 mg/dl, p<0.05)、単変量および多変量解析で有意差を認めた。【結語】大腸CT検査、内臓脂肪面積測定及びアディポサイトカイン測定を組み合わせることにより効果的な大腸腫瘍の診断の確立が期待できる。
索引用語 大腸CT, 肥満