セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル 02:

高カルシウム血症を呈した食道癌の一例

演者 津高 慎平(独立行政法人国立病院機構  岡山医療センター)
共同演者 福本 康史(独立行政法人国立病院機構  岡山医療センター), 大藤 嘉洋(独立行政法人国立病院機構  岡山医療センター), 古立 真一(独立行政法人国立病院機構  岡山医療センター), 松下 公紀(独立行政法人国立病院機構  岡山医療センター), 山下 晴弘(独立行政法人国立病院機構  岡山医療センター)
抄録 【症例】60歳代男性【主訴】食欲不振、発熱【現病歴】患者は既往に糖尿病あり10年前より加療されていたが3年前から自己中断していた。平成24年6月、検診にて高血糖を指摘され近医内科受診。スクリーニング目的の腹部CTにて膵嚢胞性腫瘤を指摘され、当院紹介受診。精査行い、膵仮性嚢胞として経過を見ていたが7月下旬より感染を合併し、加療目的に同月末入院となった。また近医での上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道癌を指摘され、こちらも入院にて精査することとなった。【経過】入院後抗生剤にて加療するも改善が乏しく、消耗性に衰弱が進行。保存的加療での改善は困難と考え、食道癌手術と同時に膵仮性嚢胞のドレナージを8月中旬に計画した。栄養管理目的に高カロリー輸液を行いつつ待機したが、徐々に意識レベルが低下。高カルシウム血症に起因した症状と考えられ、手術は延期し電解質補正に努めた。副甲状腺腫瘍は認めず、PTHrPが14.5pmol/Lと高値であることから、膵嚢胞性腫瘤が内分泌腫瘍である可能性も検討した。しかしその後急激に両側胸水、腹水の貯留を認め、全身状態が悪化、8月下旬に永眠された。胸腹水細胞診からは扁平上皮癌が検出されており、また病理解剖結果より膵嚢胞性腫瘤は転移リンパ節であった。【考察】本症例は早期に遠隔リンパ節転移、播種を来し急速な経過を辿った食道癌の症例であった。原発巣は剖検結果より表在癌であったが、その印象から膵嚢胞性腫瘤とリンパ節転移が結びつかず診断に苦慮した。高カルシウム血症は悪性腫瘍にしばしば合併し、食道癌は合併しやすい腫瘍の一つである。本症例は著明な高カルシウム血症ならびにPTHrP高値を呈した興味深い症例であり、若干の文献的考察を加えて報告する
索引用語 食道癌, 高カルシウム血症