セッション情報 一般演題

タイトル 04:

ディスペプシア症状を伴う胃食道逆流症 ( GERD ) 患者に対するエソメプラゾールの使用経験

演者 時末 充(時末消化器科内科医院)
共同演者
抄録 【対象と目的】ディスペプシア症状を伴う GERD 患者に内視鏡検査を実施し、器質的病変がなくピロリ菌陰性であった 100 例に対し、エソメプラゾールの有効性と至適投与量を検討した。
【方法 】対象を 10mg 投与群と 20mg 投与群に無作為に 50 例ずつ分け、自覚症状アンケートによりスコアの変化を比較した。アンケートが回収できたのは 70 例(ただし 4 週時点まで観察できたのは 60 例)であった。
【観察項目】胸やけ、呑酸、食後のもたれ感、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感、胃部膨満感、悪心・嘔吐、げっぷ( 9 症状)における、投与後 2 週・4 週時点の有効率の群間比較、及び症状の推移 
【評価方法】症状がなかったものを 0 点 - 症状があり耐えがたかったものを 3 点とし、症例ごとに登録時の各症状のスコアの合計点が減少している症例を(症状全体に対する)有効例、各症状ごとに登録時に有症状であった症例のうちスコアが減少している症例を(各症状に対する)症状改善例とした。有効例、症状改善例のそれぞれの母集団における比率を有効率、症状改善率とした。
【結果】≪有効率≫対象となった 70 例における、投与後 2 週の有効率は 85.7%、投与後 4 週の有効率は81.7% であった。10mg 投与群と 20mg 投与群では両群間に有効率の差は認められなかった。≪症状別改善効果≫10mg 投与群、20mg 投与群共に 9 症状中、早期飽満感、心窩部灼熱感を除く 7 症状において投与後 2 週より有意な症状改善がみられ、投与後 4 週にわたり持続した。
【考察】ディスペプシア症状を伴う GERD 患者の症状改善にエソメプラゾールが有効であったことより、GERD 症状のみならずディスペプシア症状の発現に胃酸が大きく関与していることが示唆された。また、10mg 投与群と 20mg 投与群の両群間に有効率の差、あるいは各症状の推移の差は認められなかったことから、まず 10mg を投与し、その後の GERD 症状の残存状態によって 20mg への増量を適宜考慮していくことにより、ディスペプシア症状を伴う GERD 患者の症状改善が期待できるであろう。
索引用語 エソメプラゾール, ディスペプシア症状