セッション情報 | 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄) |
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タイトル | 38:タクロリムスを投与した難治性潰瘍性大腸炎の3例 |
演者 | 濱田 侑紀(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科) |
共同演者 | 渡邊 一雄(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 表 静馬(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 上田 祐也(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 岡本 明子(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 宮阪 梨華(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 藤田 勲生(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 豊川 達也(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 村上 敬子(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科), 坂田 達朗(独立行政法人国立病院機構 福山医療センター 内科) |
抄録 | 難治性潰瘍性大腸炎に対して,近年タクロリムスの高い寛解導入効果が報告されている.今回,我々は難治性潰瘍性大腸炎に対し,タクロリムスを使用した3例を経験したので報告する.【症例1】30代女性.第2子出産後の2009年8月より腹痛,下痢,血便が出現した.近医で加療されるも症状改善せず,当科紹介となった.下部消化管内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎(全結腸型)と診断,ステロイド強力静注療法にて寛解導入療法を開始した.しかし改善乏しく,入院13日目よりタクロリムスを3mg/dayで開始とした.5mg/dayまで増量後に寛解が得られ,入院30日目に退院となった.【症例2】30代男性.2013年3月に嘔吐,下痢出現し,近医受診したが改善せず,前医へ紹介受診.下部消化管内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎(全結腸型)と診断され当院紹介入院となった.ステロイド強力静注療法と血球成分除去療法にて寛解導入療法を開始したが改善乏しく,外科的治療も考慮した.入院16日目よりタクロリムスを12mg/dayで開始したところ寛解が得られ,入院59日目に退院となった.【症例3】60代男性.1993年に潰瘍性大腸炎(左結腸型)と診断され,以後再燃と寛解を繰り返していた.2011年9月よりインフリキシマブ導入にて一時的な寛解が得られていたが,2012年3月,再燃にて当院入院となった.タクロリムス4mg/dayで投与開始し,12mg/dayまで漸増後に寛解が得られた.しかし,1年後に再燃したため,内科的治療は無効と判断,2013年4月に大腸全摘術および回腸人工肛門造設術施行した.【考察】今回経験した3症例はいずれもタクロリムスにて寛解が得られており,タクロリムスは難治性潰瘍性大腸炎に対し有効な治療選択肢であると考えられた.しかし,再燃から外科的治療が不可避な症例も存在し,タクロリムス導入後の寛解維持が今後の課題と考えられた. |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, タクロリムス |