セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
09:バルーン内視鏡用オーバーチューブを用いた吸引にて軽快した食餌性イレウスの1例
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演者 |
天野 孝広(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科) |
共同演者 |
桑井 寿雄(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 壺井 章克(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 山下 賢(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 保田 和毅(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 水本 健(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 檜山 雄一(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 山口 敏紀(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 山口 厚(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 河野 博孝(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科), 高野 弘嗣(独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター 消化器内科) |
抄録 |
食餌性イレウスは全イレウスの中で1%未満と稀な疾患であるが, 治療として多くの場合は外科的治療を要するとされている. 今回我々は,バルーン内視鏡用オーバーチューブを用いて,原因となった食物残渣を吸引することにより保存的に加療することに成功した食餌性イレウスの1例を経験したので報告する. 症例は86歳女性,主訴は食欲不振および腹部膨満. 2013年4月,末梢神経障害の精査・加療目的に当院神経内科に入院となったが,入院1週間前より便秘が続き,食欲不振もみとめ,嘔気・嘔吐は認めていなかったものの左側腹部が徐々に膨満してきたため当科紹介となった. 既往歴として1996年に胃癌に対し胃全摘術をされており, 空腸パウチ及びRoux-en Y吻合による再建術を施行している. 来院時身体所見では左側腹部から下腹部にかけて膨満しており,同部位に圧痛もみとめた.腹部造影CTにて,空腸パウチ管腔は食物残渣で著明に拡張し骨盤腔内まで充満し小腸以下の腸管を圧迫している状態であり,食餌性イレウスと診断した.上部消化管内視鏡検査にても食道内にまで食物残渣が逆流し, 空腸パウチ内も食物残渣で満たされている状態であり,内視鏡や胃管,イレウス管からの吸引および腸管減圧は不可能であった.当初は外科的手術を考慮したが, 高齢でPSも不良であることから,バルーン内視鏡用オーバーチューブでパウチ内食物残差の吸引を試行することとなった.方法としては,オーバーチューブの先端に側孔を開け,内視鏡に沿わせて空腸パウチ内にオーバーチューブを留置し, 内視鏡を抜去したのち吸引管に直接接続し透視下で位置を確認しながら食物残渣を吸引した. 上記の方法を計2回施行することで胃内の食物残渣は殆ど吸引することが可能であり症状は速やかに改善した.その後,栄養指導及び薬剤調整を行い再発兆候もなく軽快退院となった. 既存の機器を工夫して使用することにより保存的治療が可能であった症例であり,患者の背景・状態を考慮した治療法選択が重要であると考えられた. |
索引用語 |
食餌性イレウス, バルーン用内視鏡オーバーチューブ |