セッション情報 シンポジウム1「肥満と消化器疾患の関わり」

タイトル S1-08:

肝癌の背景因子と肥満との関連性についての検討

演者 黒木 一峻(広島赤十字・原爆病院 消化器内科)
共同演者 高木 慎太郎(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 森 奈美(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 後藤 久美子(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 篠原 芙美(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 木曽 まり子(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 斎 宏(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 金尾 浩幸(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 毛利 律生(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 相坂 康之(広島赤十字・原爆病院 消化器内科), 古川 善也(広島赤十字・原爆病院 消化器内科)
抄録 【目的】近年非B非C型(NBNC)肝癌が増加し、糖尿病や肥満との関連が示唆されている。当科における肝癌症例と肥満との関連性をあきらかにする。【方法】対象は2011年3月から2013年3月までに当科に入院した肝癌87例。年齢71.2±9.2歳、男性/女性;62/25例、HBV/HCV /NBNC 11/51/25例、Child Pugh A /B/C;49/30/8例、TNM stage I / II / III / IV;24/ 34/18/ 12例、腹水あり25例、糖尿病合併20例であった。BMI25以上を肥満と定義しその割合を背景因子ごとに比較検討した。【結果】BMIの平均 (肥満例%)は、全体22.7±4.8 kg/m2(19例21.6%)、HBV 22.3±2.0kg/m2(1例9.1%)、HCV 22.7±5.7kg/m2(13例25.5%)、NBNC23.0±3.8 kg/m2 (6例24%)で、肥満例の割合はHBVでは少なくHCVとNBNCではあきらかな差は認めなかったが、各々の肥満例のうち糖尿病合併例はHBV0例、HCV13例中1例7.7%、NBNC6例中4例66.7%とNBNCで有意に多かった(P=0.017)。肝予備能別(Child-Pugh)ではA 22.4±3.3 kg/m2(8例16.3%)、B 23.4±6.8 kg/m2(10例33.3%)、C 22.1±4.6 kg/m2(2例25.0%)で3群間に有意な差は認めなかった。腫瘍因子(stage)ではI 22.8±3.3 kg/m2(6例25.0%)、II 34±4.8 kg/m2(7例20.6%)、III 21.7±7.5 kg/m2(4例22.2%)、IV 21.7±4.2 kg/m2(4例33.3%)でありIVで肥満者がやや多くみられた。肥満例のうち腹水合併例は、I(1例16.7%)、II (1例14.2%)、 III 0例(0%)、IV2例(50%)であり、IVでは腹水のある症例が多くみられた。【結語】肥満例はHBVでは少なく、HCV、NBNCでは同程度であったが、NBNCの肥満例では糖尿病合併例が多かった。stage IVでは肥満例が多かったが腹水による影響もあると考えられた。
索引用語 肥満, 肝癌