セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 10:ピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療 - 患者と医師の意識調査 - |
演者 | 時末 充(時末消化器科内科医院) |
共同演者 | |
抄録 | 【対象】患者 672 名、医師 388 名 【質問項目】患者に対し、1.ピロリ菌の認知 2.ピロリ菌 - 消化性潰瘍発症の認知 3.ピロリ菌検査の経験 4.ピロリ菌 - 胃癌発症の認知 5.ピロリ菌感染胃炎の保険診療による除菌の認知 6.内視鏡検査を必要条件としたピロリ菌除菌治療に対する意向 を尋ねた。医師には1.2.を省き、7.日常診療における胃内視鏡の使用 8.内視鏡検査を必要条件としたピロリ菌除菌治療の患者に対する勧奨 について尋ねた。 【結果;患者】ピロリ菌の認知度 (87.1%)、ピロリ菌 - 消化性潰瘍発症の認知度 (77.2%)、ピロリ菌検査の経験度 (50.1%)、ピロリ菌 - 胃癌発症の認知度 (64.6%)は高く、ピロリ菌感染胃炎の保険診療による除菌についても半数 (50.7%) が認知していた。除菌治療の必要条件となる内視鏡検査の受容度は、患者全体では 53.5% であるが、ピロリ菌 - 胃癌発症の認知者と非認知者では受容度が大幅に異なる (63.5% vs 35.6% ; p<0.001)。 【結果;医師】回答率は 388 名中 239 名 (61.6%)。胃内視鏡診療従事率は 52.0%。非従事医師においてもピロリ菌 - 消化性潰瘍発症の認知度 (98.2%)、ピロリ菌 - 胃癌発症の認知度 (95.5%)、ピロリ菌感染胃炎の保険診療による除菌の認知度 (77.5%) は高い。ピロリ菌検査の経験度は患者と変わりない (50.6% vs 50.1% ; p=0.899)が、これは従事医師と非従事医師に分けても大きな差はない (55.0% vs 46.8% ; p=0.223)。除菌治療の必要条件となる内視鏡検査の患者に対する勧奨度は 91.6% と高いが、これは従事医師と非従事医師に分けても両群共に高い (96.0% vs 86.7% ; p=0.018)。 【考察】ピロリ菌 - 胃癌発症の非認知者は、除菌治療の必要条件となる内視鏡検査の受容度が大幅に低く、胃癌発症予防という本来の目的を説明することが重要である。その説明により患者の行動変容も期待できる。既に医師においては、除菌治療の必要条件となる内視鏡検査の患者に対する勧奨度は高まっており、前述の患者の行動変容を得ることができるなら、「胃炎は除菌」が今後の常識となっていくのかもしれない。 |
索引用語 | ピロリ菌感染胃炎, 除菌治療 |