セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR10:

パンクレリパーゼ製剤が有効と考えられた慢性膵炎による吸収不良症候群の1例

演者 岡田 智之(津山中央病院 内科)
共同演者 竹中 龍太(津山中央病院 内科), 角南 智子(津山中央病院 内科), 村上 麻友(津山中央病院 内科), 坂口 智紘(津山中央病院 内科), 野島 一郎(津山中央病院 内科), 岡 昌平(津山中央病院 内科), 濱田 健太(津山中央病院 内科), 馬場 雄己(津山中央病院 内科), 岡崎 倫子(津山中央病院 内科), 赤穂 宗一郎(津山中央病院 内科), 朝戸 俊行(津山中央病院 内科), 河合 大介(津山中央病院 内科), 高山 裕基(津山中央病院 内科), 竹本 浩二(津山中央病院 内科), 平良 明彦(津山中央病院 内科), 柘野 浩史(津山中央病院 内科), 藤木 茂篤(津山中央病院 内科), 海野 正俊(金田病院 内科)
抄録 【症例】70代男性.【主訴】下腿浮腫.【既往歴】糖尿病,高血圧,心房細動,前立腺癌,早期胃癌.【家族歴】特記事項なし.【現病歴】201X年5月頃より両側下腿浮腫が出現、浮腫の増悪および胸腹水貯留を認めたため,精査加療目的に同年10月当院入院となった.TP 4.2g/dl,Alb 1.4g/dlと著明な低蛋白血症を認めた.軽度肝障害を認めたが、各種検査により肝硬変は否定的であった.蛋白尿はみられず,また99mTc-HSAを用いた消化管シンチグラフィーでも消化管からの蛋白漏出は証明されなかった.腹部 CTで膵にはびまん性の石灰化と萎縮を認めた.便中脂肪滴が陽性で,膵外分泌能はPFD試験(正常は73%以上)で6時間値26.4%と著明に低下していた.以上より,慢性膵炎による膵外分泌機能不全により吸収不良症候群をきたしたものと考えた.高カロリー輸液施行し,パンクレアチン製剤投与を開始した.低蛋白血症は徐々に改善したが,効果乏しいためパンクレアチン製剤を高力価パンクレアチン製剤であるパンクレリパーゼ製剤に変更した.パンクレリパーゼ製剤投与1週後に高カロリー輸液を中止,食事は経口摂取のみとした.パンクレリパーゼ製剤投与開始1ヵ月後にはAlb 3.9g/dlと著明に改善し,浮腫も消失した.経過中に糖尿病コントロールが不良となり,インスリン投与量が増加したが,栄養状態に悪化はみられず,症状の再発は認めていない.【考察】高力価パンクレアチン製剤は,既存のパンクレアチン製剤と比べて脂肪消化力,炭水化物消化力,蛋白質消化力いずれにおいても高い力価をもち,少量で十分量の消化酵素補充が可能と考えられている,本邦では慢性膵炎による栄養障害に対してパンクレリパーゼが有効であった症例の報告は少なく貴重と考えられたため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 パンクレリパーゼ製剤, 慢性膵炎