共同演者 |
若井 雅貴(JA広島総合病院 消化器内科), 藤本 佳史(JA広島総合病院 消化器内科), 宮森 純子(JA広島総合病院 消化器内科), 冨永 明子(JA広島総合病院 消化器内科), 野中 裕弘(JA広島総合病院 消化器内科), 古土井 明(JA広島総合病院 消化器内科), 小松 弘尚(JA広島総合病院 消化器内科), 徳毛 宏則(JA広島総合病院 消化器内科), 石田 邦夫(JA広島総合病院 消化器内科), 台丸 裕(JA広島総合病院 消化器内科) |
抄録 |
出血をきたした胃迷入膵の1例JA広島総合病院 消化器内科 田妻昌,若井雅紀,藤本佳史,宮森純子,冨永明子,野中裕広,古土井明,小松弘尚,徳毛宏則,石田邦夫【症例】56歳男性【主訴】心窩部痛【現病歴】数年前より検診で胃体下部大湾に隆起性病変を認めていたが,SMT様病変としてフォローされていた。2013年7月心窩部痛の訴えあり早朝に嘔吐出現し,動けなくなり救急車要請。吐物に黒色残渣を少量認めた。【既往歴】胆管癌腹膜播種stage4で化学療法予定【内服薬】ロキソニン錠60mg3T,レバミピド錠100mg3T【現症】血圧89/75mmHg,意識清明,眼球結膜貧血あり,臍下部-右下腹部に自発痛・圧痛,四肢冷感あり,直腸診にて腫瘤なし,胃管から褐色-黒色の残渣様の液体が80ml程度,Hb4.6g/dl,BUN52g/dl【経過】上部消化管内視鏡検査:胃体下部大湾に2cmのSMT様病変あり,頂部にびらん性変化を認め,露出血管あり。GISTの自壊と考えクリップ止血し,トロンビン散布。出血の危険あり,生検は施行せず終了。検査後輸血し貧血改善したが,化学療法開始前にSMT様病変の切除必要であり外科紹介。8月胃部分切除施行,検体提出。病理診断で胃迷入膵との診断。【病理診断】胃迷入膵【考察】本症例は胃の粘膜下腫瘍からの出血であり,再出血の可能性もあるため化学療法前に切除する方針となった。出血の危険から生検による診断は行っておらず,術後の病理診断により異所性膵との診断にいたった。異所性膵の頻度は開腹手術の0.25%,胃切除の検討で1.2%といわれており,Busardらによる報告では十二指腸での発生(十二指腸29%,胃27%)が最多とされる。多くは無症状で経過し,術前に診断がつくものは稀である。本症例でも以前から胃体部の病変は指摘されてはいたが,経過観察であった。今回の出血と胆管癌との関係は不明である。胆管癌の診断目的に施行されたCTでは,胃体下部に境界明瞭な楕円状の結節があり,内部は不均一,MRIでは結節内は不均一で内部は膵と同信号であったが,周囲にT2でhigh,T1でlowの水様の所見を呈していた。MRCPでは高信号を示しており,膵管の存在を示唆する所見であった。出血時のCTで膵管部分からの出血かは明らかではなかった。 |