セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR05:

出血が継続し止血困難であったホジキン病による消化管アミロイドーシスの1例

演者 赤羽 瑞穂(広島市立安佐市民病院 消化器内科)
共同演者 木村 茂(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 妹尾 慧(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 田中 秀典(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 頼田 尚樹(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 齊藤 裕平(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 平野 大樹(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 高田 俊介(広島市立安佐市民病院 内視鏡内科), 上田 裕之(広島市立安佐市民病院 内視鏡内科), 脇 浩司(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 桑原 健一(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 永田 信二(広島市立安佐市民病院 内視鏡内科), 金子 真弓(広島市立安佐市民病院 臨床検査科), 辻 恵二(広島市立安佐市民病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】十二指腸を含む小腸アミロイドーシスでは止血困難な出血や穿孔などを来した場合, 生命予後不良である. 今回我々は出血が継続し止血困難であったホジキン病による消化管アミロイドーシスの1例を経験したので報告する. 【症例】8●歳, 男性. 主訴:吐血 現病歴:201X年11月Y日よりコーヒー残渣様の嘔吐・吐血と黒色下痢を繰り返し, 同日近医を受診し, 絶飲食, 輸液, 輸血にて経過をみるも貧血の進行を認めたため, Y+1日, 精査加療目的にて転院となった. 来院時血液データはWBC 20800/μl, Hb 9.0g/dl, CRP 9.8mg/dlであった. 胸腹部CT検査では縦隔リンパ節腫大, 十二指腸から空腸にかけて著明な壁肥厚を認めたが, 腸管虚血は指摘できなかった. 上部消化管内視鏡検査では, 十二指腸下行脚から肛門側にかけて全周性の浮腫, びらん, 潰瘍がみられ, 全体からoozingを認めた. 十二指腸下行脚より生検を施行し, AL型アミロイドーシスと診断した. 第5病日, 消化管造影を施行したところ, 十二指腸から空腸に及ぶ高度のKerckringひだの肥厚・浮腫が確認された. 第10病日, 胃管より多量の血性排液が確認され, 緊急上部消化管内視鏡検査を施行し, 内視鏡的止血は困難と判断し, 緊急血管造影を施行した. しかし明らかな消化管内漏出像は確認できず, 出血源は不明であった. 第15病日, 噴水様吐・下血を認め, 内視鏡での止血は不能と判断し, 外科的手術(膵頭十二指腸切除術, 空腸切除)を行った. 術後, アミロイドーシスとコレステロール塞栓症による縫合不全を繰り返し, 敗血症, 多臓器不全により第36病日死亡となった. 剖検では十二指腸, 回腸, 腸間膜リンパ節への著明なアミロイドの沈着がみられ, また縦隔リンパ節にホジキン病の像を認めたため, ホジキン病を原疾患とするAL型アミロイドーシスと診断した. 【結語】今回我々は出血が継続し止血困難であったホジキン病によるAL型消化管アミロイドーシスの1例を経験したので報告した.
索引用語 アミロイドーシス, 消化管出血