セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR11:

膵体尾部脂肪置換を伴ったSolid-pseudopapillary neoplasmの1例

演者 佐藤 只空(広島大学病院 医科研修医)
共同演者 佐々木  民人(広島大学病院 消化器・代謝内科), 芹川 正浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 南 智之(広島大学病院 消化器・代謝内科), 岡崎 彰仁(広島大学病院 消化器・代謝内科), 行武 正伸(広島大学病院 消化器・代謝内科), 石垣 尚志(広島大学病院 消化器・代謝内科), 石井 康隆(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小酒 慶一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 毛利 輝生(広島大学病院 消化器・代謝内科), 吉見 聡(広島大学病院 消化器・代謝内科), 清水 晃典(広島大学病院 消化器・代謝内科), 壷井 智史(広島大学病院 消化器外科), 村上 義昭(広島大学病院 消化器外科), 有廣 光司(広島大学病院 病理診断科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 症例は20歳代、女性。1年前から空腹時の立ちくらみを繰り返しており、近医を受診した。CTにて膵頭部に腫瘤性病変を指摘されたため、当科紹介となった。CTでは膵頭部に造影早期に濃染する2cm大の腫瘤性病変を認めた。また、膵体尾部に相当する部分には正常な膵実質は認めず、索状構造を認めるのみであった。EUSでは、内部に点状の高エコーを伴う比較的境界明瞭な低エコー腫瘤として描出された。ERPでは、主乳頭から造影を行うと正常なWirsung管は描出されず、細い分枝を通して下頭枝が描出された。Santorini管と体尾部の主膵管は描出されなかった。PET-CTでは腫瘤に一致してSUVmax 12.1のFDGの集積が認められた。膵腫瘤の確定診断目的にEUS-FNAを施行した。採取された検体には小型胞巣状を呈して増生する腫瘍組織を認め、免疫染色ではα-antitrypsinとVimentinが陽性、Chromogranin A陰性であり、Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)と診断した。また、膵体尾部は形成不全と考えた。外科的手術の適応と判断し、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。膵頭部の腫瘤はFNAと同様の組織像と免疫組織学的所見を示した。一方、膵切除断端において、腺房細胞の著明な萎縮と脂肪組織への置換が認められたが、脂肪組織内に残存するLangerhans島を複数個認めた。以上より膵体尾部脂肪置換を伴ったSPNと診断した。SPNに膵体尾部脂肪置換が合併した症例の報告はこれまでになく、非常に稀な症例と思われたので報告する。
索引用語 SPN, 膵脂肪置換