セッション情報 一般演題

タイトル 16:

Hemosuccus pancreaticusの1例

演者 阿部 恭大(島根県立中央病院 消化器科)
共同演者 園山 隆之(島根県立中央病院 消化器科), 塚野 航介(島根県立中央病院 消化器科), 中瀬 真美(島根県立中央病院 消化器科), 上野 さや香(島根県立中央病院 消化器科), 泉 大輔(島根県立中央病院 消化器科), 矢崎 友隆(島根県立中央病院 消化器科), 山之内 智志(島根県立中央病院 消化器科), 伊藤 聡子(島根県立中央病院 消化器科), 宮岡 洋一(島根県立中央病院 内視鏡科), 藤代 浩史(島根県立中央病院 内視鏡科), 高下 成明(島根県立中央病院 消化器科), 今岡 友紀(島根県立中央病院 消化器科)
抄録 症例は53歳、男性。息切れ、倦怠感を主訴に近医を受診。血液検査でHgb=6.5g/dl、腹部CTで膵に嚢胞性病変を指摘され、精査加療目的で当科紹介となった。上下部内視鏡では貧血の原因となる器質的病変を認めず。腹部造影CTでは膵体部より頭背側に膨隆する60m大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた。嚢胞の内部に造影効果の不明瞭な淡い高濃度腫瘤を有していた。動脈瘤や血管奇形などは認めなかった。MRIでは嚢胞性病変はT2WIで高信号を呈していた。超音波内視鏡では膵体部の嚢胞性病変は一部隔壁を有す、多房性の嚢胞として描出された。嚢胞内部に径20mm大の高エコー像を認めた。造影効果は無く、結石や粘液塊と考えられた。他部位に明らかな充実性腫瘤や結節などは認めなかった。また検査時に主乳頭より間欠的に血性の排出を認めた。ERPでは膵体部で主膵管の破綻と嚢胞内への造影剤の流出を認めた。採取した膵液は血性で、細胞診はClassI∨の結果であった。ENPDを留置して連続膵液細胞診を施行したが、その後は悪性細胞の検出は認めなかった。膵仮性嚢胞からの出血によるHemosuccus pancreaticusと診断した。ENPD留置後も嚢胞の縮小が得られなかったこと、細胞診でclassI∨が検出されたこともあり、膵体尾部切除を行った。病理所見は慢性膵炎を背景とした膵仮性嚢胞の結果であった。現在に至るまで貧血の進行は認めていない。今回我々はHemosuccus pancreaticusの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する
索引用語 Hemosuccus pancreaticus, 仮性嚢胞