セッション情報 一般演題

タイトル 24:

腫瘍内に動脈瘤を形成し胆道出血を繰り返した胆管癌の1例

演者 宇野 摩耶(福山医療センター 統括診療部)
共同演者 表 静馬(福山医療センター 統括診療部), 藤田 勲生(福山医療センター 統括診療部), 金吉 俊彦(福山医療センター 統括診療部), 村上 敬子(福山医療センター 統括診療部), 豊川 達也(福山医療センター 統括診療部), 渡邊 一雄(福山医療センター 統括診療部), 宮阪 梨華(福山医療センター 統括診療部), 上田 祐也(福山医療センター 統括診療部), 渡邉 純代(福山医療センター 統括診療部), 前原 弘江(福山医療センター 統括診療部), 岡本 明子(福山医療センター 統括診療部), 児玉 卓也(福山医療センター 統括診療部), 渡邊 直美(福山医療センター 統括診療部)
抄録 症例は30歳台女性。主訴は発熱・腹痛。20歳代で先天性胆道拡張症を指摘され、胆管空腸吻合術を施行された。200x年1月、突然の激しい腹痛を認め、紹介医に救急搬送された。CT検査では肝内胆管の著明な拡張と胆管内に出血を疑う高吸収域を認め、精査加療目的に当院紹介となった。当院にて施行した造影CT検査では肝門部に腫瘤性病変を認め、腫瘍による胆管狭窄と胆管内への出血を疑った。強い腹痛が持続したため緊急でダブルバルーン内視鏡検査(DBE)を施行したところ、胆管との吻合部近傍の小腸内に管腔の狭小化を伴う不整粘膜を認めた。同部より施行した胆管造影では著明な胆管拡張を認めたため、胆管内に経鼻胆道ドレナージ(ENBD)チューブを留置した。またDBE下に施行した生検では腺癌を認め、造影CT検査の所見と併せて肝門部胆管癌と診断した。ドレナージ後はいったん症状消失したものの、その後、激しい腹痛を繰り返し、その度にドレナージチューブから血性の排液を認めた。出血源検索目的に施行した造影CTでは腫瘍内を走行する右肝動脈に仮性動脈瘤の形成が疑われたため、緊急血管造影検査を施行した。同検査では右肝動脈に動脈瘤の形成を認め、右肝動脈に対してコイル塞栓術を施行した。以後、腹痛、ドレナージチューブからの血性排液は消失した。その後、再度、血管造影施行し、塞栓した右肝動脈支配領域の血流が側副血行路にて代償されていることを確認できたため、門脈右葉枝に対する塞栓術を施行し、肝左葉の容量増加を待って、肝拡大右葉切除術を施行した。肝動脈瘤は本症例のように破裂により初めて発見されることも多く、胆道系に破裂し大出血を伴うことがある。肝動脈瘤の形成は肝術後に生じることが多く、本症例のように腫瘍内に形成されることは稀である。今回我々は腫瘍内に動脈瘤形成を認め、胆管出血を繰り返した胆管癌の1例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆管癌, 肝仮性動脈瘤