セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR09:

膵癌術後膵空腸吻合部静脈瘤出血治療に苦慮した一例

演者 岡 聖子(岡山済生会総合病院 内科)
共同演者 關 杏奈(岡山済生会総合病院 内科), 石原 裕基(岡山済生会総合病院 内科), 岡本 雄貴(岡山済生会総合病院 内科), 河原 聡一郎(岡山済生会総合病院 内科), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院 内科), 金藤 光博(岡山済生会総合病院 内科), 齋藤 玄哲(岡山済生会総合病院 内科), 村上 尚子(岡山済生会総合病院 内科), 山本 久美子(岡山済生会総合病院 内科), 藤井 雅邦(岡山済生会総合病院 内科), 伊藤 守(岡山済生会総合病院 内科), 石山 修平(岡山済生会総合病院 内科), 川上 万里(岡山済生会総合病院 内科), 藤原 明子(岡山済生会総合病院 内科), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院 内科), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院 内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院 内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院 内科), 糸島 達也(岡山済生会総合病院 内科)
抄録 症例は60代男性。6年前に他院で膵頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行された。5年前肝転移を指摘されGemcitabineによる化学療法を開始。肝転移巣は消失したが腎機能悪化にて3年前より血液透析を開始。化学療法は中止された。受診2週間前より動悸、全身倦怠感、タール便が出現し近医に入院。上部消化管内視鏡施行されるも出血点は確認出来なかったが、その後もタール便が持続し貧血の進行も見られたため精査加療目的に当院紹介となった。上部・下部消化管内視鏡検査、カプセル内視鏡検査まで施行したがそれでも出血点は同定できず。しかし、腹部造影CTで門脈本幹の狭窄を認め膵空腸吻合部付近に静脈瘤及び側副血行路の発達を認めた。静脈瘤は輸入脚に接しており、同部からの出血の可能性を疑い経口ダブルバルーン小腸内視鏡を施行したが、術後の影響による屈曲が強く盲端部まで到達できなかった。門脈狭窄部の治療として、門脈内ステント留置も考慮したが、その後、経皮経肝門脈造影を施行したところ、狭窄部を超えた脾静脈合流部付近から造影しても静脈瘤が描出されず、狭窄部の解除だけでは静脈瘤の改善は乏しいと考えられた。入院中も静脈瘤からの出血は持続しておりコントロール不良であったため、外科と相談し外腸骨動脈間置脾腎静脈吻合術を施行した。術後下血は消失し、術後6日目の腹部造影CTでも脾腎静脈吻合部の血流は良好で、静脈瘤は著明に縮小していた。術後55日目に退院し外来通院となったが、肝性脳症による頻回の入退院を繰り返すも下血症状はなく貧血の進行もなかった。吻合術術後14カ月後に膵癌の再発を認め、その2ヶ月後、誤嚥性肺炎にて永眠されたが静脈瘤の再発は認めなかった。今回我々は膵癌術後の膵空腸吻合部静脈瘤に対して脾腎静脈吻合術を施行し、止血し得た1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 静脈瘤, 膵癌術後