セッション情報 一般演題

タイトル 59:

血液製剤による慢性C型肝炎(遺伝子型3a)の一例

演者 堀 立明(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科)
共同演者 岩本 拓(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科), 福嶋 祐子(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科), 大谷 英之(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科), 浜本 哲郎(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科), 鶴原 一郎(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科), 周防 武昭(特定医療法人財団同愛会博愛病院 消化器内科), 中村 暢宏(中村医院)
抄録 症例は50歳代前半の女性。全身倦怠感のため受診し、肝機能障害とHCV抗体陽性があり当院に紹介された。AST65,ALT47,血小板7.8万、肝生検でF3/A1であり、画像診断では肝細胞癌は認めなかった。感染経路として、輸血、刺青、覚醒剤、静脈注射の回し打ちなどを聴取するも、初めはすべて否定された。しかし、その後詳細に聞いたところ、20歳代後半に二卵性双生児出産時に大量の出血があったことを思い出した。このため、出産したS大学病院に問い合わせてもらったところ、出産時に大量の輸血とフィブリノゲン製剤を投与されたことが判明した。その後裁判にて多額の給付金が支払われた。一方、本例はHCVRNAが6.4Logcopy/mlと陽性であったが、血清型は判定不能であり、遺伝子型を測定した結果3a型であった。3a型は日本ではきわめてまれであるが、USAでは5%程度に見られるので、本例ではUSA製のフィブリノゲン製剤により感染した可能性が推測された。なお。PegIFNα2b+リバビリンを1年間投与したが、投与4週目からHCVRNAが陰性化し、現在投与後の経過観察中である。血液製剤によるC型肝炎では本例のように医師から血液製剤の投与を知らされていないこと、投与から長期間経過しているため記憶が薄れている事が多いので、医師は出血のイベントに留意して注意深く問診する必要がある。
索引用語 C型肝炎, 血液製剤