セッション情報 一般演題

タイトル 67:

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者における体重減少の効果

演者 小山 展子(川崎医科大学 肝胆膵内科学)
共同演者 富山 恭行(川崎医科大学 肝胆膵内科学), 仁科 惣治(川崎医科大学 肝胆膵内科学), 原 裕一(川崎医科大学 肝胆膵内科学), 日野 啓輔(川崎医科大学 肝胆膵内科学)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する体重減量の効果は認知されているが、肝機能やインスリン抵抗性の改善にどの程度の減量が必要かは明確ではない。そこで食事指導を実施し、体重の減量に成功した患者の体重減少率と肝機能改善との関係について検討した。
【対象と方法】当院で肝生検を行いNASHと診断し、食事指導を行い、体重の減量を認めた患者42例(男性24例、女性18例;平均年齢49歳)を対象とした。ウイルス性慢性肝疾患、自己免疫性肝疾患を有する患者、評価期間中に内服薬の変更があった患者は除外した。糖尿病合併9例、脂質異常症合併6例、高血圧合併例は6例であった。
【結果】 観察期間は平均10ヶ月。平均4.56kgの体重減少が認められ、体重減少率は平均5.70%であった。体重減少率5%を境に5%以上の体重減少を認めた「(体重)減少群」と5%未満であった「(体重)非減少群」の2群にわけ、2群間における食事指導介入前後の血液生化学検査値、体組成計を用いた身体計測値を比較した。「減少群」では、肝機能指標においてAST(84.6±70.2→45.2±41.3)、ALT(64.9±50.5→35.6±22.7)、γGTP(107.9±135.0→58.0±50.9)に有意な低下を認めた(P<0.05)。また糖代謝指標においてIRI(18.2±10.5→12.8±8.3)に有意な低下を認めた(P<0.05)。また空腹時血糖値やHOMA-IRも低下傾向であったが、有意差は認めなかった。一方、「非減少群」では肝機能指標、糖代謝指標のいずれにおいても有意な改善はみられなかった。また「減少群」で体組成計における内臓脂肪断面積(137.9±32.8→118.2±38.0)で有意な減少がみられた(P<0.05)。
【結語】NASH患者の食事指導において少なくとも全体重の5%以上の減量が達成できれば、内臓脂肪断面積は減少し、肝機能検査、糖代謝指標の改善を認め、NASHの病態改善、進展予防に効果があると考えられた。
索引用語 非アルコール性脂肪性肝炎, 体重減量