セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR17:

急速に進行し肝不全を来たした肝血管肉腫の1例

演者 澤田 和貴(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学)
共同演者 佐々木 恭(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 小山 展子(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 中島 義博(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 河瀬 智哉(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 富山 恭行(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 仁科 惣(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 吉岡 奈穂子(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 原 裕一(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 吉田 浩司(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学), 日野 啓輔(川崎医科大学附属病院 肝胆膵内科学)
抄録 【症例】60台男性【主訴】心窩部痛 【現病歴】200X年嘔吐と心窩部痛で近医受診。血液検査上,黄疸と肝機能異常を認めたため精査加療目的で当院を受診。既往症は聾唖、脂肪肝。嗜好はアルコール(1合/日×30年間)であった。来院時,意識は清明でバイタルは安定していた。眼球結膜及び皮膚に著明な黄疸を認めた。心窩部痛あり。血液検査では,Hb 10.7g/dLと貧血を認め,%PT 61.5%,Alb 2.7g/dL,T-Bil 13.5mg/dLと肝不全の所見あり。HBs抗原陰性,HBc抗体陰性,HCV抗体陰性。AFP 4.8ng/mL, PIVKA-2 39 mAU/mL,CEA 1,9ng/mL, CA19-9 7.3U/mL, 抗ミトコンドリアM2抗体(-),抗核抗体(ANA)FA 40倍であった。腹部超音波では肝内に多数の高エコー結節を認め,S2に5cm大の腫瘤を認めた。MRIでは,瀰漫性に多発するT2WIで高信号,Heavy T2WIで高信号,大部分はT1WIで低信号を呈する大小の小結節あり。造影では肝内に動脈濃染し,平衡相・肝細胞相で低信号を呈す多数の小結節を認めた。画像からは,転移性肝癌,多発血管腫症,肝血管肉腫,肝紫斑病が鑑別に上がった。 その後,黄疸は上昇しPTは低下,肝不全は進行した。入院,7日目心窩部痛が増強し,血圧低下,貧血の進行及び腹水の増加を認めた。腹水試験穿刺で血性腹水を検出し造影超音波で左葉腫瘤の破裂を疑う所見を認めた。ビリルビン値25.0と肝不全の状態であり,手術やTAEは困難な状態であった。その後,出血性ショックに陥り肝不全は進行。入院8日目死亡された。剖検では,肉眼的には肝内に出血を伴う偽嚢胞腫を多数認めた。不規則な血管構造を認め,CD31が陽性であった事から肝血管肉腫と診断した。【考察】急速に進行し肝不全を来たした肝血管肉腫の1例を経験した。
索引用語 肝血管肉腫, 肝不全