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セッション情報 一般演題
タイトル 33：

大腸全摘術後に難治性の小腸病変を発症した潰瘍性大腸炎の一例
演者 半井　明日香（岡山大学病院　消化器内科）
共同演者 平岡　佐規子（岡山大学病院　消化器内科）, 井口　俊博（岡山大学病院　消化器内科）, 竹井　大介（岡山大学病院　消化器内科）, 森藤　由記（岡山大学病院　消化器内科）, 高橋　索真（岡山大学病院　消化器内科）, 秋田　光洋（岡山大学病院　消化器内科）, 原田　馨太（岡山大学病院　光学医療診療部）, 岡田　裕之（岡山大学病院　光学医療診療部）, 山本　和秀（岡山大学病院　消化器内科）, 近藤　喜太（岡山大学病院　消化管外科）, 田中　健大（岡山大学病院　病理部）
抄録 【緒言】潰瘍性大腸炎（Ulcerative colitis：UC）は，一般に大腸に病変が限局し，backwash ileitisや術後の回腸嚢炎を除いて，消化管の他の部位に病変が出現することはまれである．今回我々は，大腸全摘術後にUC類似の小腸病変が出現し，治療に難渋した症例を経験したので報告する．【症例】72歳，男性．2011年7月に全結腸炎型のUCを発症した．前医でステロイドの全身投与と血球除去療法を行われたが，同年9月サイロメガロウィルス再活性化を契機に中毒性巨大結腸症を合併し，緊急全大腸摘出術，Jパウチ肛門管吻合，一時的回腸人工肛門造設術を施行された．11月2期手術で人工肛門を閉鎖したが，約1ヶ月後より持続する下血，腹痛が出現した．内視鏡検査では回腸嚢～口側回腸にUC類似の炎症を認めた．ペンタサ内服やステロネマ注腸，infliximabで治療されたが小腸病変の重症化のため12月に人工肛門を再造設施行，その後も回腸嚢炎，回腸炎を繰り返すため2012年2月当院紹介となった．当科でも内視鏡を再検すると，前医と同様，回腸嚢～口側回腸に発赤粗造粘膜が広がり，びらん，潰瘍を伴い易出血性であった．生検組織に絨毛構造の委縮，びまん性炎症細胞浸潤，陰窩膿瘍を認めた． PSL 30mg/dayを開始すると回腸嚢炎，回腸炎に改善を認めたが，PSLの減量に伴い再燃し，回腸出血を繰り返した．PSL再増量，ステロイドミニパルス，免疫調節薬開始にて徐々に炎症は鎮静化，2013年8月内視鏡検査では回腸嚢，口側回腸に活動性の炎症を認めなかった．現在ペンタサ4000mg/day＋PSL5mg/day＋6MP13mg/day投与中であり，PSLを漸減，中止する予定である．【考察】本症例は，大腸全摘術後に難治性の回腸嚢炎，回腸炎を発症した症例である．回腸嚢より口側回腸の炎症“pre-pouch ileitis”は稀ではあるが，発症すると重症化，難治化する例も多い．UCの診療をするにあたり知っておくべき病態であるため，文献的考察も含めて報告する．
索引用語 潰瘍性大腸炎, 小腸炎