セッション情報 シンポジウム1「肥満と消化器疾患の関わり」

タイトル S1-06:

肥満と脂肪性肝疾患の関わりについての検討

演者 菅 宏美(広島大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 兵庫 秀幸(広島大学病院 消化器・代謝内科), 相方 浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 越智 秀典(広島大学病院 消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 【はじめに】生活習慣の欧米化などにより肥満患者の割合が増加している。肥満は、BMIや腹囲で定義され、皮下脂肪型や内臓脂肪型肥満に分類される。本検討では、肥満と脂肪性肝疾患の関わりについて解析した。【方法】1.2010年度に当院関連施設における検診受診者4800人のうち、腹部超音波検査を施行している3840人(男/女=2445/1395人、50±9.9歳)を対象とし、脂肪肝と肥満の関係を検討した。2.2003年から2013年1月までに当院を受診したNAFLD患者499人のうち、組織学的にNASHと診断され、かつFat scanを施行した335人(男/女=188/147人、50±14.1歳)を対象とし、肥満とALT、NAS(NAFLD activity score)、Fibrosis stageの関連を検討した。【結果】1.全体の脂肪肝罹患率は26.7%であった。脂肪肝罹患率はBMI<25、25≦BMI<30、30≦BMIで、各々16.9%、54.1%、81.1%とBMIと正相関し(p<0.0001)、腹囲が85cm≦(男)・90cm≦(女)の脂肪肝罹患率は50.5%で、それ以下の群の14.0%と比較して有意に高かった(p<0.0001)。2.ALTはBMI(r=0.18、 p=0.0008)や腹囲(r=0.14、p=0.011)と正相関を示した。ALTと内臓脂肪(VAT)は相関を認めなかった(r=0.09、p=0.11)。NASとBMI(p=0.0005)、腹囲(p=0.0005)、VAT(p<0.0001)はいずれも正相関を示した。Fibrosis 進展例はVATが有意に高値を示した(p=0.002)。【考察】脂肪肝の拾い上げにBMI、腹囲は重要な指標である。NASH患者のALT改善には減量が重要な因子であるが、組織学的改善にはBMIや腹囲に加えてVATのコントロールが必要と考えられた。
索引用語 NASH, 肥満