セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR01:

診断に苦慮した頚部食道原発印環細胞癌の一例

演者 北村 奈瑠香(岡山大学病院 卒後臨床研修センター)
共同演者 松原 稔(岡山大学病院 消化器内科), 秋元 悠(岡山大学病院 消化器内科), 河野 吉康(岡山大学病院 消化器内科), 三浦 公(岡山大学病院 消化器内科), 神崎 洋光(岡山大学病院 消化器内科), 小林 沙代(岡山大学病院 消化器内科), 堀 圭介(岡山大学病院 光学医療診療部), 喜多 雅英(岡山大学病院 消化器内科), 筑木 隆雄(岡山大学病院 総合内科), 川野 誠司(岡山大学病院 光学医療診療部), 那須 淳一郎(岡山大学病院 消化器内科), 河原 祥朗(岡山大学病院 光学医療診療部), 岡田 裕之(岡山大学病院 光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院 消化器内科)
抄録 症例は50歳代、男性。2012年1月末頃より嚥下困難感を自覚し、2月6日に近医受診。胸部レントゲン検査で右側優位の胸水と、上部内視鏡検査で頚部食道狭窄を認めたため、精査加療目的に前医入院となった。胸水穿刺にて腺癌(印環細胞癌)を認めたため、原発臓器検索目的にPET/CTを施行したところ、頚部食道狭窄部に一致したFDG集積を認めるのみであった。上部内視鏡検査では頚部食道に全周性狭窄を認めるものの、粘膜面に異常なく、生検でも悪性所見を認めなかったため、炎症性変化と判断して食道狭窄改善目的に食道拡張術を施行した。下部内視鏡、泌尿器診察行うも原発臓器不明であり、原発精査目的に当院紹介となった。当院の上部内視鏡検査再検でも前医と同様に狭窄部に上皮性変化は認めなかった。引き続き超音波内視鏡検査を施行したところ、狭窄部に一致して粘膜下層がモザイク様に肥厚していた。粘膜下層に主座をおく腫瘍性病変を疑ってボーリング生検を施行したところ印環細胞癌を認めたため、頚部食道癌cT1bN0M1, Stage4bと診断した。食道狭窄のため食事摂取が困難となっていたため、食道狭窄改善目的にCDDP+5FU化学放射線治療を施行した。治療後食道狭窄は改善し、食事摂取は改善した。追加の化学療法をすすめたが、近医でのBSCを希望されたため、近医へ転院となり7月14日原病死した。本邦における食道癌の90%以上を扁平上皮癌が占めており、腺癌はわずか数%である。また、食道腺癌はバレット上皮を発生母地とすることが多く、下部食道がほとんどである。本症例は頸部食道に発生した印環細胞癌と診断された1例であった。頸部食道に発生する印環細胞癌の報告は極めて稀であり、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食道癌, 印環細胞癌