セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR11:

下部消化管穿孔症例の臨床的特徴像と術前の予後因子に関する検討

演者 平井 伸典(川崎医科大学消化管内科学)
共同演者 眞部 紀明(川崎医科大学検査診断学), 藤田 穣(川崎医科大学消化管内科学), 中藤 流以(川崎医科大学消化管内科学), 松本 啓志(川崎医科大学消化管内科学), 垂水 研一(川崎医科大学消化管内科学), 鎌田 智有(川崎医科大学消化管内科学), 今村 祐志(川崎医科大学検査診断学), 塩谷 昭子(川崎医科大学消化管内科学), 松本 英男(川崎医科大学消化器外科学), 秋山 隆(川崎医科大学病理学), 畠 二郎(川崎医科大学消化器外科学), 中村 雅史(川崎医科大学検査診断学), 平井 敏明(川崎医科大学検査診断学), 春間 賢(川崎医科大学消化管内科学)
抄録 【背景】下部消化管穿孔は,上部消化管穿孔に比較して稀であるが,腹腔内遊離ガスの出現率が低いために診断が遅れると,容易に重篤な状態に陥ることが多いと報告されている.しかしながら,その詳細な臨床像および術前の予後因子については不明な点も多い.【目的】下部消化管穿孔症例の臨床的特徴像および予後因子を明らかにする.【対象および方法】2008年2月から2012年9月までの間に当院で外科治療を行った下部消化管穿孔症例69例を対象とし,年齢,性別,穿孔原因と部位,術式,手術までの時間,術前ショックの有無,血液検査所見,合併症,SOFA scoreをカルテより調査し,retrospectiveに検討した.【結果】対象の内訳は,男性43例,女性26例,平均年齢70.6才であった.穿孔部位は,S状結腸が34例(49.3%)と最も多く,次に直腸が13例(18.8%)であった.穿孔原因は,憩室穿孔が22例(31.9%)と最も多く,次に医原性を14例(20.3%),悪性腫瘍を8例(11.6%)に認めた.死亡例は,全体の11例(15.9%)に認め,術式による差,男女差は認めなかったものの,平均年齢79.9才と高齢が多かった.死亡例における穿孔部位の内訳は,S状結腸が5例(45.5%)と最も多かったが,特に死亡例でS状結腸に多い訳ではなかった.穿孔原因の内訳は憩室穿孔5例(45.4%),悪性腫瘍2例(18.2%),医原性1例(9.0%),腸管虚血1例(9.0%)の順に多かった.また,穿孔の原因が不明の症例を2例(18.2%)に認めたが,いずれも慢性腎不全を合併した症例であった.死亡例では,悪性腫瘍,心血管障害,慢性腎不全, COPDなどのいずれかの重篤な疾患を合併している事が多かった.その他,死亡例は手術までに24時間以上経過した症例,術前SOFA score5以上の症例が多かった.【結語】重篤な基礎疾患を伴った高齢者で消化管穿孔症状の発見が遅れると,重篤化する可能性が高い.迅速な診断と伴に予後不良因子を評価し,早期に治療に移ることが重要である.
索引用語 消化管穿孔, 予後因子