セッション情報 シンポジウム1「肥満と消化器疾患の関わり」

タイトル S1-01:

健診受診例における肥満と逆流性食道炎との関連性

演者 足立 経一(島根県環境保健公社 総合健診センター)
共同演者 三代 知子(島根県環境保健公社 総合健診センター), 田中 志乃(島根県環境保健公社 総合健診センター)
抄録 【背景・目的】近年、食生活の欧米化、Helicobacter pylori感染率の低下、人口の高齢化などにより、日本人においては逆流性食道炎を含めた胃食道逆流症が増加してきていると報告されている。今回、逆流性食道炎の増加に肥満がどのように関連しているかを検討したので報告する。【対象・方法】対象は、2000年度、2005年度、2010年度に島根県環境保健公社総合健診センターの人間ドックにて上部内視鏡検査を施行した受診者で、残胃症例を除いた2000年度1826例(男性1215例、女性611例、平均年齢49.4歳)、2005年度2422例(男性1693例、女性729例、平均年齢49.9歳)、2010年度3422例(男性2258例、女性1164例、平均年齢51.0歳)である。ロサンゼルス分類のグレードA以上を逆流性食道炎とし、性、食道裂孔の開大、木村・竹本による胃粘膜萎縮、BMIの項目との関連を検討した。【結果】逆流性食道炎の頻度は、2000年度8.3%、2005年度9.0%、2010年度10.7%と増加していた。男女別に検討すると、男性では2000年度10.9%、2005年度11.6%、2010年度14.7%、女性では2000年度2.9%、2005年度3.0%、2010年度2.9%と逆流性食道炎頻度の増加は男性のみにみられていた。多変量解析では、男女ともBMI、食道裂孔の開大、胃粘膜萎縮が少ないことは逆流性食道炎の存在に対して有意な因子であった。2000年度~2010年度にかけて、男女とも胃粘膜萎縮の軽度な例および食道裂孔開大例の増加がみられていたが、BMIの上昇、BMI25以上の症例の増加は男性のみにみられており、男性における逆流性食道炎の増加には、BMIの増加が重要と考えられた。【結論】最近10年間で、男性においては逆流性食道炎の頻度が上昇しており、その上昇には、男性における肥満者の増加が重要な役割を果たしていると考えられた。
索引用語 逆流性食道炎, 肥満