セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR13:

インフリキシマブが著効した大動脈炎症候群合併潰瘍性大腸炎の1例

演者 寺岡 雄吏(JA広島厚生連 尾道総合病院)
共同演者 小野川 靖二(JA広島厚生連 尾道総合病院), 天野 美緒(JA広島厚生連 尾道総合病院), 今川 宏樹(JA広島厚生連 尾道総合病院), 片村 嘉男(JA広島厚生連 尾道総合病院), 新里 雅人(JA広島厚生連 尾道総合病院), 福本 晃(JA広島厚生連 尾道総合病院), 飯星 知博(JA広島厚生連 尾道総合病院), 平野 巨通(JA広島厚生連 尾道総合病院), 花田 敬士(JA広島厚生連 尾道総合病院), 天野 始(JA広島厚生連 尾道総合病院), 日野 文明(JA広島厚生連 尾道総合病院)
抄録 【症例】30歳代、女性。【既往歴】特記事項なし。【家族歴】特記事項なし。【現病歴】15歳時に全結腸型の潰瘍性大腸炎と診断。17歳時に高度の炎症が続き、胸腹部造影CTで上行大動脈瘤(50mm)と両側鎖骨下動脈閉塞・腹腔動脈と上腸間膜動脈の根部に狭窄の所見を認め、大動脈炎症候群と診断された。HLAはB-52、B-39が陽性であった。PSLと5-ASA製剤による治療を行っていたが、寛解と再燃を繰り返していた。20XX年炎症反応が再度上昇傾向となり、潰瘍性大腸炎の悪化は認めなかったことから、大動脈炎症候群の増悪と判断した。PSL 15mg/日に加え、AZA、MTX、CYA併用による治療を行ったが炎症反応は改善せず、治療に難渋していた。CYPを導入し炎症反応は低下し寛解を得ることができたが、PSL10mg/日を減量するとすぐに炎症反応の再上昇を来すため、PSL+CYPを長期継続していた。今回新たにIFXを導入したところ、速やかに炎症反応や症状の改善が見られ、PSLを5mg/日まで減量した現在も寛解を維持することができている。【考察】大動脈炎症候群と潰瘍性大腸炎の合併はPubmedで2012年までに70例の報告があり、近年報告が増加してきている。大動脈炎症候群の治療としては、ステロイドの使用が第一選択であるが、HLA-B52陽性例など一部ではステロイド抵抗性を示すとの報告もあり、近年TNF-α抗体製剤の有用性が注目されている。潰瘍性大腸炎と大動脈炎症候群の合併症例において、抗TNF-α抗体製剤の使用の報告は2011年が最初である。本症例では、当初よりステロイドに抵抗性を示し、免疫抑制剤の併用でも治療効果に乏しく治療に難渋していたが、IFXを使用することによってステロイドの減量に成功した。今回、大動脈炎症候群に合併した潰瘍性大腸炎のTNF-α製剤抗体の有用性について、若干の文献的考察を踏まえて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 大動脈炎症候群