セッション情報 一般演題

タイトル E-42:

偶然の被疑薬再投与により高度黄疸をきたした薬物性肝障害の1例

演者 岡本 敏明(鳥取大学医学部 機能病態内科学)
共同演者 孝田 雅彦(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 程塚 正則(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 三好 謙一(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 木科 学(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 藤瀬 幸(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 杉原 誉明(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 徳永 志保(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 岡本 欣也(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 法正 恵子(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 岡野 淳一(鳥取大学医学部 機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学医学部 機能病態内科学)
抄録 症例は73歳男性、主訴は全身倦怠感と黄疸、食欲不振。飲酒歴はビール400mlと焼酎水割り3杯を毎日。高血圧で近医通院中、トリクロルメチアジド・アムロジピンべジル酸塩内服中であったが、2013年6月上旬より高尿酸血症に対してベンズブロマロンの内服を開始された。7月上旬著明な肝機能障害(AST 1890IU/L、ALT 2161IU/L、ALP 668IU/L、γGTP 410IU/L、T-Bil 12.3mg/dL、D-Bil 8.1mg/dL、PT 72.4%)を認め、精査加療目的に入院となった。AST、ALTは入院後減少したが、Bilirubinは遷延性にT-Bil 28.2mg/dL、D-Bil 18.4mg/dLまで上昇し、PTは54.8%まで低下した。自覚症状は軽症であったため、Neo-Minophagen C 100mlを投与し、第15病日より黄疸は減少し始め、第43病日にはAST、ALTは正常化、T-Bil 3.0mg/dLまで改善した。原因検索目的に施行した各種肝炎・ウイルス、自己抗体は陰性であった。本患者は2005年にも薬物性肝障害が疑われており、被疑薬としてベンズブロマロンが考えられた。今回もベンズブロマロンが再投与されており、リンパ球刺激試験(DLST)を施行したが、同薬は陰性であった。第47病日に腹腔鏡検査を施行し、著明な肝委縮と一部に結節状の肥大を認め、馬鈴薯肝potato liverと診断した。委縮肝のため肝生検は施行しなかった。CT、USにおいても肝委縮と一部結節肥大を認めた。ベンズブロマロンによる肝障害は、劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸を来すこともあり、投与開始から6ヶ月以内は定期的な肝機能検査を行うことが必要である。今回我々は、ベンズブロマロン再投与により高度黄疸をきたした薬物性肝障害の一例を経験したため、初回発症時との経過を交えて報告する。
索引用語 薬物性肝障害, ベンズブロマロン